中村芳夫 日本経済団体連合会 副会長・政治委員長 わたしの『自民党論』
--自民党総裁選、民主党代表選をどう評価しますか。
自民党の候補者5人の主張は、重点の置き方に違いはあったが、軸は同じだったという印象を持った。その点で見ていて安心感があった。
一方の民主党は、代表選の軸が見えづらかった。現政権の政策が進まないのは、衆参のねじれが原因というより、むしろ民主党内がまとまっていないことが最大の問題点だと考えている。
──2009年の敗北を経て、自民党は変わったのでしょうか。
まだわからない。政権を取ってから評価するしかない。ただし自民党の政策の軸はぶれていないと思う。
──政権を奪取した場合、何を期待しますか。
ビジネスを推進する政策だ。円高や経済連携協定の遅れ、電力料金、公的負担の重さ、労働・環境規制など、日本経済は課題だらけだ。しかし民主党政権が打ち出したのは、アンチビジネス的な政策ばかりだった。それらは企業を国外へ追い出す政策であり、世界のどこにもそんな政策を採っている国はない。仮に自民党が政権に就く場合、プロビジネス政策で雇用創出につなげてほしい。
自民党は環太平洋経済連携協定(TPP)に慎重な姿勢を示しており、その点ではわれわれの方向性とは合わない。ただ、自民党は現段階で野党であり、まだ真の決断を迫られていない。与党になった場合、どういう政策を打ち出すかはわからない。政権を取ったら、ぜひ国の将来を考えて決断してほしいと思う。