14.6%--基準地価における陸前高田市の地価上昇率《気になる数字》
バブルが崩壊した1990年以降、日本の地価は今なお下落トレンドが続いている。一時的に地価の上昇が見られることはあったが、それは都市部を中心としたものだった。だが、今年は様子が少し異なっている。
国土交通省が発表した2012年の基準地価(都道府県地価調査、7月1日現在)によると、住宅地の地価上昇率の全国トップは岩手県陸前高田市で、前年比14.6%の上昇だった。さらに、同県宮古市や宮城県石巻市が続き、住宅地の上昇率トップ10を、岩手、宮城両県の沿岸地域、すなわち東日本大震災の被災地が独占する結果となった。商業地も石巻市が同11.8%で全国トップの上昇率だ。
陸前高田市は、昨年は大震災による壊滅的な打撃の影響もあり、前年比16.0%下落と全国4位の下落率を記録した。他の各市も昨年は軒並み下落しており、その反動という面はある。ただ、その後の1年で、復興計画の青写真が徐々に明らかになるにつれ、特に高台の地域を中心に復興を見越した需要が生じ、それが10%を超える高い上昇につながった。
だが、被災地では、今なお多くの人々が仮設住宅等での不自由で不安な生活を余儀なくされている。ましてや、地域全体の復旧はまだまだ不十分だ。今後、集団移転などの動きが本格化した場合、地価上昇が想定以上の負担となり、復興の足かせとなる可能性も出てきた。
(データ事業局・加藤千明 =週刊東洋経済2012年10月13日号)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら