日本精工が盲導犬の代わりとなるロボットを開発、2016年に屋内での実用化目指す
ベアリング大手の日本精工が「障害物回避先導ロボット」や「盲導犬型ロボット」など、介助犬や盲導犬の代わりとなるロボットの開発を進めている。
白鳥のような白いボディに貝殻を模した赤いグリップ--。一見、遊戯具に見間違えるほどやわらかな形状の「障害物回避先導ロボットNRW002」は、障害物などを認識し、避けながら、人を先導することができるロボットだ。
ロボットに埋め込まれた複数のセンサーとカメラが「目」の役割を果たす。性質の異なる2種類のセンサー(レーザーと超音波)が、周囲の障害物との距離を測る。さらに、床を視認するカメラが、進む先に階段など段差が存在しないかをチェックする。
人は貝殻状の赤いグリップを握り、進みたい方向にそっと傾けるだけ。行く手に障害物があると、ロボットが自動で認識し、よけながら進む。人はアイマスクなどをした状態でも、ロボットの後ろを安心して歩行することができる。ロボットの姿勢を垂直に維持する自動姿勢制御機構を採用し、傾斜面での転倒を防止するなど、安全性にも留意されている。
このほか、4足歩行をする「盲導犬型ロボット」の開発も進む。車輪で動く「障害物回避先導ロボット」に比べると装置が複雑で、価格が高くなってしまう欠点があるものの、段差などを越えて、人間と同じように歩くことができるメリットは大きい。
日本精工では2004年頃から、こうしたロボットの開発に取り組んでいる。ロボットの開発では、同社がベアリングや自動車部品といった主力製品を通して培った高度なメカトロ技術が生きるうえ、今後増えるであろうロボット用部品のニーズに、先回りして気付くきっかけも得られるようだ。
今後は、まず「障害物回避先導ロボット」の屋内での使用を前提に実証実験を始める計画だ。2016年に屋内で、2020年に屋外での実用化を目指す。目の不自由な視覚障害者は世界に約2億8500万人といわれるが、盲導犬や介助犬の数は圧倒的に不足している。「障害物回避先導ロボット」や「盲導犬型ロボット」が、人々の日常生活を助ける日が、いずれやって来るかもしれない。
■赤いグリップを握って方向を伝える
(小河 真与 =東洋経済オンライン)
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