介護サポートウエアを発売、消防車のモリタがなぜ
消防車と介護--。一見するとあまり関連のない両者が結び付いた。
消防車国内首位のモリタホールディングスは10月1日、主に高齢者の介護に従事する人を対象に、腰の負担を軽減するサポートウエア「ラクニエ」(=写真=)を発売する。
なぜ、消防車メーカーが介護分野に乗り出すのか。狙いの一つは自治体予算の減少で1990年代後半以降は、国内需要が頭打ちとなっている消防車事業を支える新たな収益柱を確立するため。もう一つは事業面でのつながりが見出せたからだ。
モリタには訪問入浴車や介護用シャワー設備など、これまでにも介護関連の実績があった。今回、腰部サポートウエアの発売を機に、成長が見込まれる介護分野への注力を明確に打ち出した。
サポートウエアは腰痛に悩む消防士や救急隊員向けに、モリタが慶應義塾大学と医療用品メーカーのダイヤ工業(本社・岡山県岡山市)と共同開発してきた。モリタはこの技術を、入浴介助などで腰に負担のかかる介護従事者向けに活用できると考えた。2年前から介護現場でモニター使用を継続。現場の声を取り入れて改良を重ねた。
介護施設への販売ルートは主に2つ想定している。1つは、近年販売を伸ばしているパッケージ型自動消火設備「スプリネックス」を納入している社会福祉施設。もう1つは、消火器の販売代理店を通じての販売だ。そのほか、救急隊員、運送業者、農業従事者などへの売り込みも計画している。