しまむら、V字回復の理由は「値上げ」にあった デフレの勝ち組の変革は今期も成功するか

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裏地あったかパンツは110万本を値下げすることなく売り切る大ヒットとなった(写真は15年10月。撮影:風間仁一郎)

今後の課題は、新規出店を進めている、都市部での収益力向上だ。

「高い賃料とオペレーションが課題」と野中社長も言うように、都市部ではこれまでのしまむらモデルが通用しない。しまむらの強みは、チェーンストア理論を活用した単純化・標準化した店舗での、ローコスト・オペレーション。これが都市部では賃料や人件費が上がり、売り場面積も制約される中で発揮しにくい。野中社長は「都市部はハイコスト要因が多いのは確か。イレギュラーをひとつのパターンとして考え、それをどこまでできるかだ」と分析する。

また、インターネット通販についても、方針は定まっていない。「研究はしている。未来永劫しないわけではない」と、野中社長も煮え切らない。店舗が拡大すればするほど、ネット通販をどう位置付けるかが、難しくなりそうだ。

低価格路線など、これまでの柱は維持するものの、時代に合わせた新たなモデルも模索し始めているしまむら。2期連続減益から復活した改革は本物だったか。その答えは今期に出る。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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