東芝は債務超過転落を回避できるのか 医療事業売却スキームには異論も
[東京 2日 ロイター] - 経営再建中の東芝<6502.T>がキヤノン<7751.T>への医療機器子会社売却で巨額の資金を調達、債務超過の回避に自信を深めている。売却益を2015年度に計上し、懸案の原子力事業の減損も同年度中に実施する公算だ。
しかし、東芝は子会社売却を急ぐため、過去にあまり例のない手法を利用、法曹界の一部からは独占禁止法の「脱法行為ではないか」との指摘もある。東芝は、売却益計上などについてはなお慎重な調整を続けている。
ペーパーカンパニーの活用
東芝は医療機器子会社、東芝メディカルシステムズをキヤノンに6655億円で売却した。税引き前段階の利益は約5900億円になる見込み。東芝は売却益を活用して債務超過を回避したい考えだ。
買収を完了させるには、主要各国の競争法規制当局(日本では公正取引委員会)の承認が必要になる。しかし、各国の独禁当局の認可を待っていると、同年度に利益計上を可能とする3月末の取引完了には間に合わない。
そこでキヤノン側のアドバイザーが編み出したのが、資本金3万円のペーパー・カンパニー(MSホールディング=MSH)に、競争法審査が完了するまでの間、東芝メディカルの議決権を持たせる仕組みだ。
日本では、国内売上高200億円超の企業が同50億円超の企業を買収する場合、公取委への届け出が必要になり、30日間は株式の移転できない。