下水汚泥から水素を取り出す--燃料電池社会に向けた実験が始動
水素から電気エネルギーを取り出す燃料電池。発電しても有害な排気ガスを出さず、水しか発生しないエコエネルギーとして、自動車向けや家庭用電源などに応用が期待されている。
ただ、これまで燃料電池の動力源となる水素は、化石燃料から製造するのが一般的。結局は環境への負荷が生じていたことになる。だが、燃料電池を究極のクリーンエネルギーにする手は残されていた。
ジャパンブルーエナジー(本社・東京都千代田区)、大和リース、豊田通商、三井化学の4社は9月10日、下水汚泥から水素ガスを製造する実証実験に着手したと発表した。2012年度中に事業化のメドをつけ、来年度にもプラントの建設に入る。現在は大半が焼却処分されている下水汚泥から安定的に水素を作り出し、燃料電池車(FCV)向けの水素ステーションなどに供給できれば、地産地消型でエネルギーが循環する都市を構築することも可能となる。
4社は共同でHIT事業研究会(HITは水素革命都市のHydrogen Innovation Townを意味する)を発足した。同研究会は、ジャパンブルーエナジーが、島根県出雲市に所有するバイオマスガス化プラント「BLUEタワー」(=下写真は全景=)で、下水汚泥を原料としてバイオ水素を製造する実証試験に着手した。大和ハウス工業、トヨタ自動車がオブザーバーとして同研究会に参加している。