震災特需なくなり明暗、コンビニ優位だが大手寡占で下位は厳しく全体では「曇り」 【産業天気図・スーパー/コンビニ】
スーパー/コンビニ業界の上期(2012年4~9月)は、前年同期の震災特需が剥落した部分を埋め切れず、各業態首位を中心としたごく少数の例外を除いて減益傾向の「曇り空」。下期(12年10~13年3月)は反動要素が薄らぐが、人口減や14年の消費税引き上げなど悪材料には事欠かず、やはり「曇り」を予想する。
昨年3月の東日本大震災後は買いだめ特需が起き、スーパー、コンビニとも前上期の既存店売上高が底上げされた。今上期は各社とも反動減を見込んでいたものの、第1四半期を見る限りは明暗が分かれている。総合スーパー(GMS)首位のイオンは既存店が前年同期比微増(0.8%増)を維持。一方、セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下で同業2位のイトーヨーカ堂は既存店が同3.2%減。ヨーカ堂は2016年2月までにパート比率を9割(現8割弱)に高める一方、正社員を半減させる大改革に踏み込まざるをえなくなった。
コンビニではセブン&アイ傘下で首位のセブン-イレブン・ジャパン(既存店4.3%増)、2位ローソン(同5.0%増)、3位ファミリーマート(同2.5%増)の上位は好調だが、下位に行くほど苦戦している。
大手は2月決算のため第2四半期は6~8月となるが、全国的な天候不順がたたり、7月半ばごろまで既存店は停滞。7月末から8月は猛暑で盛り返したものの、特にスーパーでは第2四半期決算が減益となる企業が増えそうだ。
秋以降は特需の反動減の影響が和らぐが、足元の消費環境は良いとは言えず、優勝劣敗による二極化がますます進む。コンビニ下位では合従連衡の動きが加速。イオン傘下でコンビニ5位のミニストップはココストアに出資しトップバリュなどPB品の供給で組む一方、スリーエフとも流通センターの相互利用や商品の共同開発で結びつきを強めている。また、ユニーが完全子会社化したサークルKサンクスの地域FC本部であるサンクスアンドアソシエイツ東四国は、来13年1月の契約満了後は、同年春にも四国へ進出するセブン-イレブンとの契約を希望、サークルKサンクスと係争状態に入っている。
下期は業界全体が冴えない曇り空の下で、スーパー、コンビニとも「勝ち馬選び」の動きが活発化しそうだ。
(山川 清弘 =東洋経済オンライン)
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