JX社長「日本の再編はまだ終わっていない」 日本は世界の石油メジャーと戦えるのか?

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 ――業界再編と合わせ、石油製品の販売価格見直しの議論も高まっている。

鉄道などと一緒で、エネルギー業界は絶対にぼろ儲けができない。その代わり、「適正利益」をどうやって作っていくかの話になる。

日本にとってエネルギー産業が必要だとしたら、安定供給できる形で再投資をしていくことが不可欠だ。昔と違って規制緩和が進み、石油製品の輸入は自由だ。競争相手は世界中になっている。

いまはバランスシートの右側(負債、純資産)の問題もあって、(原油安など)大きな波に耐えられるような会社を作らなければいけない。覇権争いのための統合ではなく、競争がグローバル化する中で、規模と財務体質を持った会社でなければ勝てない。

いずれ、再編の形は変わっていく

うちだ・ゆきお●1951年生まれ。73年日本鉱業入社。JXホールディングス副社長などを経て2015年から現職

――統合で海外の石油メジャーなどと戦っていけるのか。

かつて第二次世界大戦で日本の石油産業は壊滅的にやられた。上流は全部取り上げられ、製油所も全部閉鎖された。産油国やメジャーとは発射台が違う。

日本は現在日量400万バレル弱の精製能力がある。国内の元売り大手5社で単純計算すると1社80万バレルだが、この程度は、世界では誰も驚かない。

それどころか1社で400万バレルと言っても世界はびっくりしないだろう。規模がなければ、インフラを手がける業種は厳しい。世界もそうだが、日本も再編はまだ終わっていないと私は見ている。

――再編はもう一段ある、と。

「元売りが2~3社になって終わりでしょう」という人もいるが、そうではない。石油開発、石油化学のほか、広くいえば電力、ガスなどエネルギー産業全体がどうなるか。私が生きている間に起きるかもわからないが、いずれ、これまでと違う形での再編の世界に入っていくだろう。

                        (撮影:梅谷秀司)

週刊東洋経済3月26日号「この人に聞く」に加筆

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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