iPhoneロック、米司法省が「解除」に成功 対アップルの訴えを取り下げ
今回の争いの発端となった銃乱射事件は昨年12月にカリフォルニア州サンバーナディーノで発生。14人が死亡し、22人が負傷した。男女2人の容疑者は事件後、警察との銃撃戦で死亡した。
アップルは政府の要求とそれに伴う裁判所の命令について、民間企業に政府の代理人として協力することを強制する無限の権限を裁判所に与えるものだとして、行き過ぎだと訴えていた。
今回の声明では「われわれはこれまでのように引き続き司法機関の捜査に協力するとともに、われわれのデータに対する脅威と攻撃がより頻発し、かつ精巧になる中、引き続き製品のセキュリティー向上に努める」と説明。「今回の事例は市民的自由、集団安全保障、プライバシーについて、全国的な議論に値する問題を提起した」とした。
悩ましい問題
司法省がiPhoneをハッキングする技術を発見したとみられることは、悩ましい問題も浮かび上がらせる。
政府がアップルに詳しい内容を伝えれば、同社は弱点の改善に乗り出し、そうした手段を無効化させるだろう。一方で、政府がアップルに情報を伝えなければ、同社は製品のセキュリティーに対して疑念の目を向けられることになる。
米司法機関の高官は28日、記者向けの電話会見で、今回のロック解除技術がその他のiPhoneにも適用できるかどうか、アップルやその他の司法機関と情報を共有するかどうかについてコメントするのは時期尚早だと述べた。
また、今回の解除技術を提供した関係者についての詳しい説明を拒否。ただ、米政府内から提供されたものではないと明らかにした。このほか、当該iPhoneから見つかった情報に関するコメントも拒否した。
司法省のニューマン報道官は28日、「司法機関が関係者の協力を通じてであれ、協力が得られなかった際には裁判制度を通じてであれ、国家安全保障や治安を守るために重要なデジタル情報を得られるようにすることは、政府にとって引き続き優先事項だ」と指摘。「この使命を果たすため、製造業者の協力を求めたり、公的・民間双方の部門の創造性に頼ったりすることを含め、あらゆる可能な選択肢を探り続ける」と述べた。
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