欧州でテロ多発を止められない根本的な理由 セキュリティ対策に穴があるだけではない

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こうした地区では、警察は地域の安全を守ってくれる存在ではなく、脅威とみなされており、それがアブデスラムのようなテロリストを取り押さえるのを一段と難しくしている。警察の人種差別的プロファイリング(職務質問)や、イスラム教徒の家庭や企業に対する容赦ない強制捜査は、これらのコミュニティをさらに遠ざけることになった。

イスラム教徒コミュニティと信頼関係を築け

しかしこれらのコミュニティとの関係は、テロ対策のカギとなる。パリの事件の首謀者アブデルハミド・アバウドは、顔を合わせたいとこの友達が警察に通報したことで、パリ郊外のアパートで発見された(急襲作戦で死亡)。仏ルモンド紙によると、ブリュッセルのアブデスラムも、新しい潜伏先はないかと電話をした友達に通報され、逮捕された。

しかしアバウドのことを通報した若い女性は、そのせいで家と仕事を失い、フランス当局の支援もほとんどないという。欧州諸国にも証人保護プログラムはあるが、証人とその家族の実際の保護はわずかで、それが一般市民が警察当局に協力することを思いとどまらせている。

欧州は緊急に治安対策を強化する必要があるが、テロを挫折させるカギは莫大なイスラム教徒との信頼関係だ。テレサ・メイ英内相は23日、イスラム教徒の一般市民も、「他の誰もと同じように」テロの脅威を「懸念している」と語った。

(執筆:The Editorial Board、翻訳:藤原朝子)

© 2016 New York Times News Service

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