品川駅前には、なぜ「家電量販店」がないのか もう一つの空白地帯、東京駅にはヤマダが

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都市型家電量販店は、交通網の中心に店を構えている。広い範囲から人が訪れるターミナル付近であれば、より多くの客を集めることができるからだ。

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ヨドバシカメラがある新宿駅西口(写真:ワンセブン/PIXTA)

新宿西口にあるヨドバシカメラの本店はどこから人を集められるだろうか。新宿周辺の住民、中央線沿線、京王線沿線、小田急線沿線は当然だが、交通網の拠点には近隣だけでなく、長距離を結ぶ鉄道網や高速バスのネットワークが広がる。

例えば、新宿には湘南新宿ラインが乗り入れている。これにより、神奈川県や群馬県、栃木県からの来客も見込める。また、新宿駅は特急の始発駅であり、高速バスターミナルも近くに何ヶ所かある。ヨドバシカメラの新宿西口本店前には、京王系列の高速バスのターミナルがある。

さらには、最近は外国人の客も増えている。店舗は羽田空港や成田空港へのリムジンバスの乗り場にも近く、英語や中国語での案内もあり、店に行くと外国の言葉が飛び交っていることも多い。交通網の中心に店を構え、広範囲から集客が見込めることで、ヨドバシカメラ新宿西口本店は、家電量販店として日本トップレベルの品揃えができるようになっている。

地方都市でも同様だ。たとえば札幌駅近くには、ヨドバシカメラとビックカメラのそれぞれの店舗があり、札幌市内だけではなく、道内各地から札幌を訪れた人の利用も便利だ。

九州最大の都市である福岡市では、ビックカメラが九州一円に広大なネットワークを持つ西鉄高速バスの拠点である天神高速バスターミナル近くに、ヨドバシカメラは九州の新幹線・特急ネットワークの中心である博多駅近くに店舗がある。こういった場所に店を構えることにより、九州内はもちろん、山口地域からの来客も見込むことができる。

リニアは家電量販店に変化をもたらすか

都市型家電量販店は、多くの人が集まる交通の「要」となる場所に店を構えることで集客力を高め、さまざまな商品を置くことができるようになり、その商品を求めてさらに多くの客を集めるようになっている。

一方、そこにヤマダ電機は違った形で挑戦状を叩きつけた。ヤマダ電機が見据えるのは、「世界」だ。世界に、日本の最良のものをどう提示していくかを考え、店づくりをしている。

これから先、新たにネットワークの結節点としての存在感が高まるのは、都内では品川駅だろう。いままで出店していない各社が、リニア中央新幹線開業に際してどう動くか。また、交通網の変化は新しい家電量販店のよい立地を生み出す可能性もある。その際には、家電量販店各社はどう動くのだろうか。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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