スズキの逆輸入車「バレーノ」、日本での勝算 修会長「インド産の品質は国産に追いついた」
小型車では「スイフト」と並ぶ主力のミニバンタイプの「ソリオ」を2015年にフルモデルチェンジ。2016年1月には小型クロスオーバー(SUV風の乗用車)の「イグニス」、今回のバレーノと、立て続けに投入した。「10万台を売る体制が整いつつある」と鈴木俊宏社長は言い切る。
バレーノは2015年10月にインドで発売し、これまで約4万台を販売するヒット車種となっている。とはいえ、日本で同クラスには、トヨタ自動車の「アクア」、ホンダの「フィット」などがひしめく、最激戦区となっている。バレーノの国内販売目標は年間6000台にとどめる。
ではなぜ、逆輸入に踏み切ったのか。「日本で生産する場合、少なくとも1モデル12万台造らないとペイしない。バレーノが最も売れるのはインドなのでインドで造る。2カ所で造るのはもったいない。コストが合わない」(修会長)ことがその理由のようだ。
インドから欧州や中近東に輸出も視野
もちろん、大前提として、インド製の品質が向上したことはある。「湖西工場(静岡)で造るのと同レベルまで達したと判断いたしまして。品質的には問題ないと思っております」と修会長は強調した。
インドを輸出拠点として育成する狙いもある。拡大するインド市場でシェア4割強を握るスズキは、「まずインド国内の供給を確かにしていく。次に輸出」(俊宏社長)という青写真を描いている。
インドから輸出する場合は欧州や中近東、アフリカなどが主なターゲットになる。品質にうるさい日本市場で、インド製の車が受け入れられれば、自信となることは間違いない。バレーノの成否は、スズキのグローバル戦略の試金石となりそうだ。
(「週刊東洋経済」2016年3月26日号<22日発売>「核心リポート05」を転載)
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