【産業天気図・鉄道・バス】09年度後半の見通しは「雨」、来年度前半は回復の兆し見えるが利益水準なお低い
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
鉄道・バス業界の2009年度後半の天気は、「雨」が続きそうだ。柱の鉄道ではビジネスや観光需要が低調にとどまるうえ、新型インフルエンザによる影響も懸念される。流通やレジャー、不動産などの非運輸部門も本格回復はまだ期待しづらい状況にある。が、10年度前半になると、業績面では回復の兆しも見え始めそうだ。ただ、平常時に比べるとまだ利益水準は高くなく、業界全体としての天気は「曇り」を予想している。
上場JR3社の09年度後半の業績は、3社とも減収減益を見込んでいる。景気低迷や新型インフルエンザのあおりで、主力の新幹線を巡る環境が厳しい。東海旅客鉄道<9022>は、安全投資以外の修繕費や広告費を絞り込むが補えない。東日本旅客鉄道<9020>は駅ナカ物販と不動産賃貸の利益は堅調を見込むが、新幹線や在来線特急の低調が続くと考えられるうえ、償却増やシステム経費、新駅関連の修繕費などがかさみそう。西日本旅客鉄道<9022>も下期の償却増が負担となる。
大手私鉄の09年度後半の業績見通しは、鉄道部門の利益の落ち込みがJR各社ほど大きくないことから、一部には薄明かりも見られそうだ。ただ、空港関連などの鉄道、バスの依存度合いが強い会社にとっては、引き続き景気低迷が足かせとなるうえ、新型インフルエンザが業績下振れのリスク要因として残る。また百貨店などの流通やホテルなどのレジャー、不動産分譲など非運輸部門も、まだ復調は先となりそうだ。
「東洋経済オンライン」の09年度後半の営業利益予想は、上場大手私鉄では13社合計では前年同期比プラスを見込むものの、JR3社を加えた全社合算ベースでは、依然として前年同期比で10%程度の減益を見込んでいる。2010年度は通期では業績反転を予想しているが、利益水準は06年度、07年度に比較するとかなり低く、利益は小反発程度にとどまると考えている。
(水落 隆博)
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