核廃絶のために、もっと日本は世界に貢献すべき
このように、オバマ大統領の核廃絶発言に対する否定的な雰囲気が、米国内では想像をはるかに超えて強いことに驚いた。
しかし、現地で独自に会合をもった現地駐在員から聞いた話では、オバマ大統領は選挙を支えた草の根組織があり、その組織を使って核廃絶の運動を推進するつもりでないかという意見もあり、筆者もその可能性を感じている。
いずれにせよ、来年のNPT運用検討会議においてわが国からオバマ大統領への貢献を行うことは日米関係に大きなプラスになると考えている。
日本は何ができるか
このような国際社会の流れの中、日本はどのような貢献できるだろうか。
世界で唯一の被爆国である日本の役割はますます大きくなっている。国際社会での日本への期待、それに応えていかなければならない。
日本は、毎年国連総会において「核軍縮決議」を提出している。08年12月の国連総会決議でも、NPT順守の重要性を強調し、CTBT(包括的核実験禁止条約)の早期発効、核実験モラトリアムの継続を要請し、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の交渉開始と早期妥結の重要性を打ち出している。これは、2000年NPT運用検討会議の採択文書で挙げられている内容を継承しているものだ。
日本は、核不拡散/保障措置、原子力の安全、核セキュリティの「3S」の確保を前提とした原子力の平和利用の世界的な拡大と核廃絶を進めることができる立場にある。そして、国際的な枠組み作りへの積極的貢献やアジアを中心とする新規導入国への支援といった国際協力への積極的取り組みに進めていくことによって、国際社会への貢献を行うことができると筆者は考えている。
そのために重要なことが、NPTの最も大きな実施部隊としての役割を担うIAEA(国際原子力機関)の事務局長ポストを日本人が務めることだが、このポストを見事に天野之弥(あまの ゆきや)氏が獲得してくれた。