ブラック・スワン上・下 不確実性とリスクの本質 ナシーム・ニコラス・タレブ著/望月衛訳~黒い白鳥が1羽でもいれば白鳥は白いとは言えない

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 著者の主張のほとんどに説得されたが、人々が第1のランダム性に固執するのは、誤っていることを知らないからではなくて、他人のおカネを預かっている人々が、そうしておけばとりあえず責任を免れるからではないだろうか。これほど皮肉で罵倒好きな著者がそう指摘しないのは不思議だった。

また、饒舌に多彩な事例を膨大に引用されることにも疲れた。その割には、金融市場の変数が第2のランダム性に従うことを示す証拠の具体的な引用は少ない。

本書を読んでいると、アメリカのカクテルパーティで饒舌な紳士に会ったような気がしてくる。あるいは、カクテルパーティでの話題探しにこの本を読むアメリカ人も多いのではないかとも思った。

読みながら、なるほどとうなった事例を忘れてしまうことがあったが、索引が付いているので、なんなく忘れた事例を見つけることができた。教養のあるふりをするにも便利な本かもしれない。

Nassim Nicholas Taleb
マサチューセッツ大学アマースト校の学長選任教授として不確実性科学を研究。文芸評論家。レバノン生まれ。ペンシルベニア大学ウォートン・スクールでMBA、パリ大学で博士号。ニューヨーク大学研究所で確率論のリスク管理への応用を教えた。

ダイヤモンド社 各1890円 上298ページ、下336ページ

・Amazonで見る (上)(下)
・楽天で見る (上)(下)

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