イラン暴動から見えた民主主義の弱さと強さ--イアン・ブルマ 米バード大学教授/ジャーナリスト

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今回の選挙で、ムサビは多くのイラン人から勝ち目がない候補とみられていた。最高指導者ハメネイ師もそう思っており、アフマディネジャドが大統領として再選されると確信していた。これは、民主主義を切望するすべてのイラン人にとって不愉快な一撃であった。

しかし、ムサビの選挙運動とその後の展開は、「両候補の間には、スタイルとプレゼンテーション以外に違いはない」と主張する人々が誤っていたことを明らかにした。選挙後の“静かな威厳に満ちた抗議活動”は、ポピュリスト大統領の“好戦的な姿勢”よりも、世界におけるイランの立場を雄弁に物語っていた。

さらに、選挙後の抗議に対する暴力的な取り締まりは、体制内の亀裂を露呈させ、それを拡大させた。これこそが、先行きが見えない状況においても選挙を行うべき理由である。選挙は、独裁者の権力の壁の裂け目を暴露する。事実、アフマディネジャドは選挙に勝利したが、その体制は弱体化したのである。

ネオコンのように、「改革派でも強硬派でもイランは敵にすぎない」と信じ、強硬派の勝利を喜ぶことは単に冷笑的なだけではない。それは、すでに屈辱を味わっている人々に、さらに侮辱を与える行為である。

Ian Buruma
1951年オランダ生まれ。70~75年にライデン大学で中国文学を、75~77年に日本大学芸術学部で日本映画を学ぶ。2003年より米バード大学教授。著書は『反西洋思想』(新潮新書)、『近代日本の誕生』(クロノス選書)など多数。

(photo: http://www.president.ir/)

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