副都心線を救った「見えない難工事」の全貌 2つの工夫で難関をクリア

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「地下鉄線内急行」と表示した副都心線直通列車(写真:mii/ PIXTA)

さらにこの2016年3月には、5社共通の愛称として「Fライナー」という呼称のもと、急行運転を速達化することとなった。

まず、原則としてメトロ直通電車は各停が主だった西武と東武の区間では、これを急行または快速急行として運転することとなった。また「渋谷〜元町・中華街間」では定着していた「東横特急」の愛称を返上。全体を「Fライナー」として一貫したイメージを売りだそうとしている。

これによって、元町・中華街〜森林公園間で11分の短縮が可能となる。JRの湘南新宿ラインと埼京線・川越線に対する優位を打ち立てようという、各社相乗りの大きなプロジェクトが実現する。

ところで、副都心線開業当時のダイヤの混乱はどこへ行ったのだろうか?考えてみれば、あれほど渦巻いていた「副都心線への批判」はいつの間にか消えている。東横線への直通も問題なく運用できているし、今回は全線にわたっての速達化を「新ブランド」のもとでキャンペーンを繰り広げている。

その実現には、一つの「難工事」があった。

「Fライナー」を実現した難工事

東京メトロは、副都心線開業時に問題となっていた「小竹向原〜千川」間の平面交差を解消するために、2本の「連絡線」、つまり平面交差を立体交差とするための追加のトンネルを2本掘ったのだ。うち、池袋方面への連絡線は3年前の2013年2月に完成している。要するに都心方面への「渋滞」は、東急東横線への直通運転開始の1カ月前に密かに解決していたのである。

2016年2月13日(土)の深夜には下り線、つまり有楽町線の新木場から来た電車を和光市方面へ流す「新トンネル」への切り替えが完了、14日の始発から運用が始まった。これで、「Fライナー」立ち上げへの準備は整ったことになる。

この「連絡線」の工事だが、非常に特殊な工事となった。首都圏の鉄道における難工事といえば、上野東京ラインの神田駅付近の「三層構造の高架橋」建設が挙げられるが、こちらが「目に見える」特殊性と言えるなら、小竹向原の工事は「地下という空間」における「目に見えない」難工事と言える。

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