JR東日本の業績が「長いトンネル」に入る理由 今期の最高益から一転、来期は減益の可能性

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JR東海が実施したトンネル改修の様子

そこで開業50年を目前に控え、大がかりな改修をしてしまおうというのだ。JR東日本にとって、このような全面的な改修は今回が初めてとなる。

工事の概要は多岐にわたる。橋梁の柱を支える支点部分を鋼材で補強したり、コンクリートを打ち替えたりする。トンネルでは、コンクリートと地盤の隙間に充填材を注入するほか、ロックボルトを打ち込む。法面を取り替えたり、補強のために杭を設置したりもする。

これらの作業は、新幹線の安全性をさらに高めるというより、現在の設備をさらに長持ちさせる意味合いのほうが近い。たとえばマンションも10年、20年といった節目の年に大規模修繕を行う。これと似たようなものと考えればいいかもしれない。

改修費用の総額は1兆円超

1964年に開業した東海道新幹線を抱えるJR東海は、一足早く大規模改修に着手している。スタートしたのは2013年。東海道新幹線50周年の前年ということになる。やはり10年を費やして新幹線のインフラを万全なものにする計画だ。

JR東海が行った工事内容もJR東日本とほぼ同一。「インフラに変状が生じる前に処置すると対応箇所は多くなるが、結局、変状が生じた部分に処置するよりコストは安く上がる」と、JR東海の担当者は説明していた。

では、JR東日本が大規模改修に投じる費用はどのくらいなのか。同社が2月17日に国土交通省に行った申請によると、総額は1兆0406億円に及ぶ。

工期は10年が予定されているので、単純計算すると年間約1000億円ずつ、営業費用が増えることになる。そこで、費用総額の3分の1に当たる3600億円を、2016年4月から2031年3月までの15年にわたって引当金として積み立てる。

工事開始後は、3600億円の引当金を10年間にわたって取り崩す。その額は年360億円。これと相殺すれば、毎年の費用を抑制できることになる。

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