日産エコカー戦略の野望、戦いのルールを変える!

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日産エコカー戦略の野望、戦いのルールを変える!

夜叉(やしゃ)のような形相だった。5月に開かれた日産自動車の2008年度決算会見。登壇を待つカルロス・ゴーン社長は、これからリングに上がるかのように、壇上をぐいとにらみつけていた。そこにいる“敵”とは、かつて死に体だった日産を再生し、救世主の名をほしいままにした自分自身である。

ゴーン体制になって初めて、08年度は1379億円の営業赤字を計上した。09年度も1000億円と2期連続の赤字となる。6月末の株主総会では無配転落に非難が集中した。

日産とルノーを合わせたグループ販売台数は680万台とトヨタ、独フォルクスワーゲンに次ぎ世界3位の規模だ。われわれは優位にある--ゴーン社長がいくらそう連呼しても今の日産にかつての輝きはない。

昨年、国内新車販売トップ10(軽含む)に日産車は一つもランクインできなかった。最高がミニバンのセレナ11位。トヨタとホンダの新ハイブリッド車が大ヒットした今期の劣勢は一段と鮮明だ。米国の状況も似たり寄ったり。乗用車・小型トラック販売トップ10にトヨタは2車種、ホンダは3車種の名を連ねるが、日産は7位のアルティマだけだ。

最近の日産からは中大型セダンのティアナやマキシマ、そしてスポーツカーのフェアレディZと、エコや小型化の流れと逆行するかのようなクルマばかりが発売される。

20××年、日産は自動車会社じゃない!?

しかしゴーン社長はようやく、神話を取り戻せるかもしれない切り札を2枚手に入れた。1枚目は、電気自動車だ。まったく新しいデザインの車体に、自社開発のリチウムイオン電池(LiB)を搭載する。航続距離は1充電で160キロメートル程度。10年秋に追浜工場で年5万台から生産を開始し、12年後半には米国テネシー州のスマーナ工場で電気自動車15万台、バッテリー20万基の能力を持つ工場を立ち上げる。

電気自動車なら三菱自動車がアイ・ミーブ、富士重工業がプラグインステラを6月に発売したが、初年度生産計画はそれぞれ2000台と170台。いずれも軽自動車サイズでありながら、政府の補助金を使っても300万円台と値が張る。

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