日産エコカー戦略の野望、戦いのルールを変える!

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 日産がハイブリッド車や電気自動車向け電源としてLiBの開発に乗り出したのは1992年にさかのぼる。他社がニッケル水素電池を選ぶ中、日産は異質の選択をした。最大の売りは「半導体のような精密さ」(堀江英明・EV技術開発本部EVエネルギー開発部次世代バッテリー研究グループエキスパートリーダー)。

車載電池は馬力を決める出力密度とスタミナをつかさどるエネルギー密度のほかにもう一つ、耐久性が重要だ。ただ、車は携帯電話やパソコンと違い、高出力を出すために複数の電池を組んで搭載するため、一つだけ壊れても全部がパーになる。

「100人の舞台を1人たりともケガさせず生還させなければならないようなもの。その点、LiBだけが正確にコントロールできる」(堀江氏)。

97年ごろから、日産は電気自動車を次々に発売し、やはりLiBを搭載したハイブリッド車「ティーノ」も100台発売。インターネットで瞬く間に売れたが、採算がとれず、一度きりの試みに終わった。 

その後は経営の立て直しでハイブリッド車開発の手が止まる。トヨタからハイブリッドシステム(THS)の供給を受け北米向けにアルティマハイブリッドを生産・販売したものの、THSと日産製LiBの特性は合わなかった。かくして日産は、プリウスとインサイトの独走を許してしまった。

「ハイブリッドカーの市場シェアは日本こそ6%だがこれは例外。米国は2%、世界では1%にすぎない」。ゴーン社長が最近そこかしこで披露する“自説”を山下副社長が翻訳するとこうなる。

「ハイブリッドは重要で必要な技術だが、あまり儲からない。THSの供給を受けている分、どれくらい高いかはよく知っている。ただし、ハイブリッドは当初言われていたような“つなぎの技術”ではなく、今後20年、30年と続くだろう。本当の勝負はこれから」。

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