私がグリーンスパンに同情してしまう理由--ブラッド・デロング カリフォルニア大学バークレー校教授


 最近、私が旅行中に出会った人々の多くは、共通した意見を持っていた。それは、「米国の金融当局は三つの深刻な過ちを犯し、それが金融危機を引き起こし、悪化させた」という意見だ。

最初の過ちは、金融当局が市場規制を厳格に適用しなかったことだ。結果として、規制の網を逃れた“影の銀行システム”が膨張し、レバレッジや報酬面での肥大化を許してしまった。政府は、商業銀行システムの保証さえ確立していれば、トラブルは回避できると信じ込んでしまっていたのだ。

二つ目の過ちは、AIGの救済に関するものだ。FRB(連邦準備制度理事会)と財務省は、AIGの取引相手を支援するのではなく、AIGを国有化し、債務を肩代わりするという決断を下した。そのことで金融機関の経営者が自分たちの戦略は基本的に健全であると主張することを許してしまった。

三つ目の過ちは、リーマン・ブラザーズを制御不能な倒産に追いやったことだ。リーマン破綻によって、FRBと財務省は「十分な資本を持っていない相手との取引にはリスクが伴うこと」「国民は、経営危機に陥った金融機関を政府が自動的に救済することを望んでいないこと」を銀行経営者に教えようとした。

四番目の大きな過ちがあったのかについては、現在、活発な議論が行われている。その争点とは、グリーンスパン前FRB議長が2001年から04年の間に完全雇用の水準を維持するために財務省証券の名目金利を押し下げ、長期間にわたって金利を非常に低い水準に維持したことが、間違いだったかどうかということである。言い換えれば、グリーンスパンは住宅バブルの発生を阻止するために金利を高水準に維持して、不況の引き金を引くべきであったのか、ということだ。

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