ゼネコンが空前の好決算ラッシュに沸く理由 「過去最高益」が続出している

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人手不足は着工や工事の遅れにつながっており、ゼネコン側の資材発注が遅れることで、建設資材商社などの一部では業績が足踏み、もしくは減益となる企業もある。

今年は後半からは東京オリンピック関連の建設需要がある一方で、現場では団塊世代の高齢労働者のリタイアが本格化し、人手不足は深刻化し、労務コストの上昇は避けられない見通しだ。建設業界としても、新規労働力の確保のために、給料アップをはじめ待遇改善に取り組む方針で、これが建設費をさらに押し上げる可能性がある。

こうした中で、ゼネコン各社は労働力の確保を最優先に、受注の際は労務費高などコスト上昇分はもちろん、利益もさらに分厚く乗せる「採算重視」の姿勢だ。

2017年3月期も好調は続くのか?

2016年3月期についていえば、労務費、資材高を折り込んで受注したが、見込みより労務費が落ち着いていたことに加え、鋼材価格下落や原油安がコストを押し下げた。さらに、省力化など施工効率化努力も加わり、利益上乗せにつながった。

それでは、2017年3月期はどうなるのか。「2016年3月期の結果次第だが、好決算の反動から期初時点では減益予想もありうる」(あるゼネコン幹部)という。値引き要請など、新規受注に影響しかねないという思惑もあるからだ。

しかし、多くのゼネコンは今期のように期中に上方修正、少なくとも今期並みの最高益水準か、それ以上の利益を確保する可能性が大きい。コスト高を織り込んでも利益が確保できる環境にあるため、好調な業績は当面続きそうだ。

余談だが、積み上がった利益、利益剰余金のうち、使い道が限定されない別途積立金について、宮本洋一・清水建設社長は2月上旬、「1000億円達成が見えてきた」ことも社長交代の一つの理由としてあげていた。昨年を振り返れば、大成建設、鹿島が社長交代となったが、冬時代を乗り越えて業績の回復、財務体質の改善はトップ交代にも影響している。冬から短い春を経て、一気に夏がきた。その夏は長くなりそうだ。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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