激売れ!無印の「海外発商品」が強いワケ あの「直角靴下」も"探して"生まれた
私が社長になったとき、無印良品が転落してしまったのは「ブランド磨きを怠ったからだろう」と分析しました。どうにかして、無印良品らしさを取り戻さなければならない。そこで2003年に生まれたのが、「ファウンド・ムジ」です。
ファウンド・ムジは「世界の生活文化や歴史に根付いた良品を探し出し、世界の優れた日用品から学び、無印良品のフィルターを通して商品化する」というコンセプトの取り組みです。いわば、「つくる」ではなく「探す」ことをメインにした無印良品なのです。
もともとこれは、無印良品がずっとやってきたことではありますが、それをさらに先鋭化し、時代の先を行くようにしなければなりません。そうしなければ世の中のニーズから遅れてしまうし、たとえ海外に持っていっても競争力のない商品になってしまうだろう、と考えたのです。
そうして、世界各地の細部にまで入り込みながら、昔から使われてきたものを社員が探し歩くようになったのです。
「変哲もないもの」にコンセプトを加味する
それぞれの国や地域で、ずっと長くつくられているもの(使われているもの)は、全世界どこへ持っていっても受け入れられます。そういうものを見つけ出すのがファウンド・ムジの使命です。
たとえばベトナムの農村に行くと、ノンラーと呼ばれる三角の藁できた帽子をかぶり、木の皮や草で染めた農民服を着た人たちを見かけます。その農民服を洗練されたデザインにアレンジすることで、ファウンド・ムジの商品として生まれ変わるのです。
中国の家庭で古くから使われてきた木のベンチを見つけたときも、「これはファウンド・ムジではないか」と担当者のアンテナが動きました。何の変哲もないベンチですが、だからこそ可能性を秘めています。
そこで、もともとは雑木でつくられていたベンチを、丸太から切り出した無垢材を使うことで強度を高めて、ファウンド・ムジの商品としてリニューアルしたのです。このベンチは食卓で使うこともできれば、庭でも使えますし、上に小物を置いてインテリアとして使うこともできます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら