東海道新幹線が「大雪」でも運休しない舞台裏 汚名返上へ、現場が重ねてきた努力の歴史

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このため、開業当初の雪対策は、雪が降ったらラッセル車で除雪するという、在来線と同レベルの対策で十分ということになってしまった。

開業翌年に破損事故が相次いだ

雪との戦いの歴史は開業翌年から始まった

1964年10月1日の華々しい開業から3カ月後、冬将軍の到来とともに東海道新幹線と雪との戦いの火ぶたが切って落とされた。

翌年の1月9日から11日にかけて関ヶ原地区で雪が降った際、車両の窓ガラスにひびが入ったり、床下のゴミ箱や水タンクが破損するという事故が相次いだ。

原因究明の結果、高速走行する新幹線が巻き起こす風で、線路に積もった雪が舞い上がり、車両床下や台車に着雪。これが次第に大きくなって雪塊となり、落下した際の衝撃で線路の砂利(バラスト)が飛散し、車両の窓ガラスを破損させることがわかった。このため、新幹線は降雪時に減速運転を余儀なくされることになった。

事故防止の対策として、スプリンクラーによる散水で雪の舞い上がりを防ぐという方策が取られた。水を巻くことで雪質が濡れ雪となり、舞い上がりを防ぐことができるのだ。

ただ、散水には問題もあった。米原・関ヶ原地区の線路は盛り土構造となっている。そのため、大量に散水すると豪雨と同じ状態となり、路盤に悪影響を与えるリスクがある。試行錯誤の末、散水量を1時間5ミリメートル程度に抑えるのが適切、という結果が得られた。

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雪の舞い上がりを防ぐため、スプリンクラーで散水している

現在、米原・関ヶ原地区には68.5キロメートルにわたってスプリンクラーが設置されている。2009年には、スプリンクラーのノズルを改良し、長方形型に散水することが可能になった。これによって、従来では届かない範囲まで散水できるようになり、効率的な濡れ雪化が実現した。

もっとも、これでは雪質が変わっただけで、雪が除去されたわけではない。米原・関ヶ原地区では営業運転終了後の深夜にラッセル車による除雪作業を実施しているが、2003年からはロータリーブラシ車による除雪も行うようになった。

ラッセル車は、大きな排雪板がレールにダメージを与えることのないよう、レールに触れない範囲で除雪する。そのため、レール上面に雪が10センチメートル程度残ってしまう。

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