業界異端児・大阪ガスの「オール電化」切り崩し大作戦!
「コストを下げるのはゆっくりとではダメ」
そして、エネファームに懸ける意気込みはひときわ強い。料金割引はもちろん、機器販売店のサポート専任者を3人に増やし、「通常より有利な」(同社広報)専用ローンを用意。太陽光発電との「ダブル発電」に注力する住宅メーカー向けには約130回の商品説明会を実施した。6月正式発売前の先行受注は4月末ですでに300件を超えるなど、想定以上の好スタートを切った。今後CM本数も2倍に増やす方針で、このままなら初年度目標の1000件を上回る可能性は十分だ。
ただ問題が一つ。同社のエネファーム本体価格が325万5000円と割高な点だ。国の補助金上限140万円を差し引いても180万円を超え、エネファーム使用で年間光熱費5万円が浮くという業界の試算からすれば、回収に30年以上かかってしまう。これでは、いかに環境性能が高くても、本格普及は難しい。
大阪ガスでは2~3年内に量産効果を高めつつ、補助金も考慮した実勢価格を100万円程度に引き下げ、2015年には50万~60万円前後にしたい考えだ。これだとほぼ10年で初期投資が回収でき、本格普及に弾みがつく。「コストを下げるのはゆっくりとではダメ」(尾崎社長)と臨戦態勢に入っている。
燃料電池を普及させることができれば、家庭用電源需要における電力会社の独占を崩し、都市ガス拡大への突破口が開ける。公益ガス会社にあって、コストとスピードを重視した商人気質に、業界異端児、大阪ガスの面目躍如がかかっている。
(大西富士男 撮影:ヒラオカスタジオ =週刊東洋経済)
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