電鉄会社が生んだあの「カレー屋さん」の秘密 女性客にも人気の京王「カレーショップC&C」

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ただ基本的なレシピは、48年前から変えていません。この前も中央林間にお住まいの女性の方からメールが来まして。その方は以前、新宿にオフィスがあった。今度、中央林間に新しい店ができたので、懐かしいあの味を楽しむことができるようになったと、そう喜んで頂けました。

――そこが食べ物の仕事をすることの、いちばんの楽しさなのかもしれませんね。ところで「C&C」の味が、これだけのロングセラーになり得たのには、どのような理由があったのだとお考えですか?

正直に申し上げれば、数字が落ち込んだ時期もありました。その理由を調査したときに、現場から「お客様の高齢化が進んでいるのではないか?」という声が挙がりました。

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店の雰囲気を変えたことで女性客が増えている

それでは、それに対してどうすれば良いのか?若い方は少しくらい価格が高くても雰囲気の良い店を選びます。

それならば「C&C」も店の雰囲気を変えてゆこう。メニューにも工夫をして、女性が食べやすいものを増やしてゆこう、と。その一環として生まれたのが、先ほど挙げましたオムカレーです。それまでは100人のお客様のうち、女性は2~3人程度だったものが、その頃から劇的に変化をしました。

私どもがロングセラーになれたのは、いちばん大切なものが味であるということは申すまでもありませんが、駅構内という恵まれた立地に出店できたということと、そこにどのようなニーズがあるのかを、的確につかめたからなのかなと思います。

多くの電鉄系チェーン店が、“立ち食い蕎麦”を提供しているなかで、「C&C」はカレーである。その個性もお客様に好印象を与えたのではないでしょうか。そのような中で「クイックサービス」は、やはり基本である。この部分は“立ち食い蕎麦店”と何も変わりはないわけです。

都心に店舗拡充し新たな展開探る

――これからの「C&C」は、どのように展開してゆくのでしょう?

京王電鉄の沿線を大切にするということは当然ですが、その一方で、やはり都心への進出を拡充してゆかなければならないと捉えています。都心のビル街には、今も新宿に4店舗があるように、十分な需要があります。

駅構内への出店であれば私どもの得意とするところですが、オフィスビルではどうするか?ランチタイムに対しては十分なノウハウがあります。それでは夜をどうするか?例えば、お酒を出すのか?それであればメニューをどうすれば良いのか?そのためのパッケージを、これから探り出していかなければならないと、そう感じているところです。
 

池口 英司 鉄道ライター、カメラマン

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いけぐち・えいじ / Eiji Ikeguchi

1956年東京都生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業後、出版社勤務を経て独立。著書に『国鉄のスピード史―スピードアップがもたらした未来への足跡』(イカロス出版)、『鉄道時計ものがたり―いつの時代も鉄道員の“相棒”』(共著、交通新聞社新書)、『JR旅客6社徹底比較』(河出書房新社)、『さらに残念な鉄道車両たち』(イカロス出版)等。

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