『日本の難点』を書いた宮台真司氏(社会学者、評論家、首都大学東京教授)に聞く

もう一つは、インターネットを敵にするのではなくて、たとえばインターネットをポータルに雑誌や書籍に誘導することで、インターネットを味方につけることが大事だ。可処分所得ならぬ可処分時間の大半がインターネットやケータイに取られている以上、もう可処分時間の配分には決着がついているからだ。本を読む時間をと言っても無駄。基本的にはインターネットやケータイに使う時間に含まれる形で、活字へのアクセスが入らないと生き残れない。

これは、活字媒体だけではなく、TVなどいわゆる電波媒体も形は同じだ。高額所得者向けで残るか、インターネットを味方につけて残るか、選択肢はその二つしかない。
    
--テーマ領域は多岐にわたり、ユニークな論点も多い。「早期英才教育」不要論から披露してください。

同世代で中学受験を経験したことのある「エリート層」の人間は多くが早期教育をしない。理由は簡単で、早期教育をした子どもは、しない子どもにいずれ抜かれる。人間の地頭は変わらないからだ。いつか身につく知識について機会費用を払わないで、その分、クリティカルエイジがあると思われるものについては、感受性を高める経験をさせる。あるいは人間関係や成功・失敗の経験を積ませる。地頭があればいずれ追い抜けるし、どちらが人を引き付け動かし、尊敬させることができるか、答えは言うまでもないだろう。

--話は変わり、外交戦略として重武装中立化を提唱しています。

従来はアメリカの核の傘の下で、防衛費を削って利権配分にいそしむことができた。簡単に言えば敗戦国として旧敵国の言うがままに近代化をし、アメリカに従うのが習い性になった。しかし、対米追従が日本に豊かさをもたらすという時代は、20年前、1988年の第2次竹下内閣時の日米構造協議で終わった。

もはや重武装中立化が外交カードとして有効だ。アメリカは小泉内閣のときに憲法改正を要求してきた。その代償は重武装化による対米中立とたきつけたら、アメリカは突如、憲法改正要求をやめた。これは、現実に重武装中立化するかどうかではなくて、それを外交カードとして使えることを意味する。

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