マイクロソフトが海底に狙いを定めたワケ 「海中データセンター」は無謀な挑戦ではない
マイクロソフトリサーチ(MSR)の一部門である「ニュー・エクスペリエンス・アンド・テクノロジーズ(NExT)」のエンジニアたちは2014年、クラウドコンピューティングシステムをもっとスピーディーに強化する方法を検討し始めた。
「普通の人は、スマートフォンを操作するとき、奇跡的に小さなコンピュータを使っていると思うかもしれないが、実際にはクラウドにある100個以上のコンピュータを使っている」と、マイクロソフトのピーター・リー副社長(MRT・NExT担当)は言う。
「それを何十億人もの人がやっているわけだから、莫大なコンピュータ処理が必要になる」
同社は最近、カリフォルニア沖の海底90メートルに、データセンターを収めた直径約2.5メートルの鋼管コンテナを沈め、105日間にわたり試運転を行った。結果は予想以上の大成功だった。
当初、ハードウエアの障害や水の漏入が懸念されたため、コンテナには水圧、湿度、揺れなどを測定する100種類のセンサーが設置された。何しろ海底データセンターは、故障したら修理担当者を送り込めばいいというものではない。このためコンテナの状態が細部に至るまで観察された。
2017年にも新たな実験へ
試運転が成功に終わったのを受け、実験期間は延長され、クラウド・プラットフォーム「Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)」を実際に稼働させる実験も行われた。
NExTではすでに、プロトタイプの3倍のシステムの設計も開始している。その構築は、潮力など海の代替エネルギーシステムの開発にあたってきた企業(未定)と協力して行われる予定だ。このシステムの試運転は、おそらく2017年に、フロリダか北ヨーロッパで行うことを目指しているという。
(執筆:JOHN MARKOFF記者、翻訳:藤原朝子)
© 2016 New York Times News Service
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