日本株はモミ合いながら下値を固める段階だ 和らぎつつある投資家の戻り売り圧力

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信託銀行の買い越しも昨秋と今冬が重なる。2015年8~9月、海外投資家は日本株を4兆円近く売り越した。一方、年金基金の売買動向を映すとされる信託銀行は2015年8~10月に1.4兆円、2015年11月~2016年1月に1.1兆円、日本株をそれぞれ9週連続買い越している。

信用取引における評価損益率は、おおよそプラスマイナスゼロ~マイナス15%前後で推移といわれている。昨夏の下落局面ではマイナス16%台まで悪化したのち、9月末に株価は底入れした。2016年1月の株価急落により、足元もマイナス16%台(1月22日申込時点)まで拡大。投資家が見切り売りを急ぎ、(将来の売り圧力となる)信用買い残が7カ月半ぶりに3兆円を下回った。戻り売り圧力が和らぎつつ、足元の日本株の戻り歩調を後押ししている模様だ。

移動平均25日線と75日線の収斂には要時間

足元の日経平均株価は25日線まで値を戻した。投資家は上値メドを探りながら、持ち高調整の売買を続けている。

通常、移動平均線は発散と収束を繰り返す。年初からの株価急落に伴い、2月2日時点25日が1万7600円、75日線が1万8653円、200日線が1万9298円と各移動平均線が大きく発散している。要するに短期投資家(25日線)と中期投資家(75日線)の損益分岐点が1000円超も離れている。今後は株価がモミ合いながら、代表的な3本の移動平均線が収斂していくための日柄調整が必要と思われる。

年初からリスク資産に売りを出していた投資家もここから再度売り込むのは難しい。中国経済の減速懸念から原油価格の動向等の不安材料も残り、相場の先行きに対する強弱感は対立する。相場格言では日経平均株価が2月上旬に「節分天井」で戻りを試した後、二番底を探る展開も想定される。ただ、節分天井は近年になるほど当てはまらない傾向もみられる。25日線と75日線の間を往来しつつ、日柄調整を経て下値固めの展開か。

注目の経済指標やイベントは、4日のTPP署名式、5日の米1月雇用統計、7日からの中国春節。10日と11日はイエレン議長半期議会証言、12日に米1月小売売上高等、15日は米国市場休場(プレジデンツ・デー)である。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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