自宅から30分。埼玉の荒川河川敷にはいくつものゴルフ場がある。台風や豪雨で冠水するとクローズになるが、近い、安い、面白いの三拍子そろっており、それなりに楽しめる。メンバーの多くは年配者で、浦和、志木、所沢といった近隣在住のゴルファーが誘い合わせてやって来る。
『とくダネ!』が終わって1時間もあれば、フジテレビのある台場から到着するので、私も月に2~3回は遊びに行く。古いコースはグリーンが小さく、ショットの練習には最適で、平坦とはいえ気が抜けない。それと、河川特有の強い風は、風もハザードを証明しており、ショート・ホールでドライバーを持つこともしばしば。
スタート前に乗る専用の渡し舟は、河川独特の風情で風が心地よいものの、川面に白波が立っているときは、かなりの覚悟が必要だ。400ヤードのミドル・ホールが500のロングに変わってしまう。逆にロングでも追い風になれば2オン可能で、夢のイーグルチャンスだ。
先日、マネジャーの宇野と加藤を伴ってプレーした際も、かなりの強風で、アベレージ・ゴルファーの2人を相当苦しめた。宇野は183センチの元ラグビー選手、加藤は193センチの元サッカー選手、共に全国大会出場の経験を持つスポーツマンである。ゴルフのキャリアは5年と3年で、宇野の方が仕事同様先輩。ただ、加藤はめきめき腕を上げ、時に90を切って宇野を焦らせる。共に曲がる欠点はあるが、当たればドライバーで300を超え、教える側の私を50ヤード以上、上回ってホクソ笑んでいる。
この日はインのスタートで、最終ホールがアウトの9番ロング。495ヤードと短い上に、かなりのフォローで、バーディのチャンスがある。8番を終わって後輩の加藤が1打リードしていた。このところ分の悪い宇野が会心のティーショットを放つと、続く加藤も満振りでキャリーオーバー。宇野の310ヤードを20ヤード超えたところに加藤のボールがある。何か異様な空気が漂う中、宇野のアイアンショットはピンに向かってまっしぐら。グリーンの手前から転がって、ピンの根元と重なって見えた。イーグルチャンスだ。
「宇野、近いぞ! 逆転するかも」と私があおると、加藤は力んでグリーンの手前に運ぶのが精一杯。
「加藤、今日は宇野に勝たれるな」
「まだわかりません。俺がバーディなら並びます」。負けん気の強い加藤はまだあきらめていない。
ところが、グリーンに行って驚いた。宇野のボールはピンの根元、カップまで2センチのところで止まっていた。もうちょっとでアルバトロスだ。もちろん、オーケーイーグルである。そして加藤も寄せワンでバーディ。レベルの高い最終ホールとなった。私の名誉のために言っておく。2人のスコアは110。
1947年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ!』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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