北海道新幹線は試乗会の後も不安がいっぱい "北の大地"で新幹線を待ち受けるハードル

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試乗車両の窓から函館山が見えた(撮影:尾形文繁)

まず前述したように、新函館北斗駅が函館駅から遠く離れている。すれ違い時の風圧などの問題から、北海道新幹線は当面、青函トンネル内で在来線並みにスピードを抑制することを余儀なくされる。そのため、東京―新函館北斗間の所要時間は4時間を超えてしまうことになった。

新函館北斗から函館駅までは「はこだてライナー」というアクセス列車が乗客を運ぶ予定だが、この乗車時間は15~22分。しかも、乗り継ぎ時間として10~20分、余計にかかる。時間帯によっては30分近く待たされる。

これでは、たとえ新幹線の所要時間が4時間を切ったところで意味がない。アクセス列車も含めた東京―函館間の最短時間は4時間30分。昼間の時間帯だと、5時間を超えるケースもある。現在、東京と函館を結ぶ主要な交通手段は航空機だ。鉄路がこれほど時間を食うようでは、北陸新幹線のように、航空機から新幹線へ需要が劇的にシフトすることは考えにくい。

JR北海道もその点は認識しているのか、北海道新幹線の利用者を1日5000人と予想している。在来線特急の利用者と比べると2~3割増ではあるものの、開業後半年間の北陸新幹線・上越妙高―金沢間の利用者が在来線特急時代の3倍に増えたことを考えると、かなり見劣りしてしまう。

割高料金で負のスパイラルに?

新幹線特急料金・運賃(以下、料金)も割高感が否めない。東京―新函館北斗間の料金は2万2690円。ほぼ同じ営業距離の東京―広島間が1万9080円であるのに比べると、割高さが際立つ。

航空機と比較するとどうか。羽田―函館間は正規運賃こそ高いが、「特割」などの割引を利用すれば、1万8000円程度で乗ることができる。早めに予約すると、1万3000円程度で乗れることもある。

新幹線にも割引制度はある。九州新幹線「つばめ」は、高速バスとの競争が激しい博多―熊本間では、割引価格の適用によって半額以下まで値下げしている。

北海道新幹線にも割引切符は導入される。たとえばJR東日本の「スーパーモバイルSuica特急券」を使えば、東京―新函館北斗間が31%オフ。一方、JR北海道が実施する割引サービス「北海道お先にネットきっぷ」は25%オフにとどまる。道民がJR東日本のサービスを利用することは可能だが、どこまで浸透するかは疑問だ。

北海道新幹線の開業に伴い、在来線特急は廃止される。つまり、北海道と青森県の往来は新幹線で、ということになる。道や県は「新幹線で津軽海峡をまたいだ交流が活発になる」と期待を寄せる。新幹線化によって所要時間が短縮するのだから、そう考えるのは当然だ。だが、在来線と比較した場合の値上がり幅はバカにならない。

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