現在の「弱気相場」は、いつまで続くのか 経験則が語る株下落余地
[ロンドン 27日 ロイター] - 多くの株価指数が「弱気相場」の圏内に突入し、動揺をきたしている投資家にとっては、良いニュースと悪いニュースがある。良い方は、売り局面はあと数カ月で終わるかもしれないということ。
悪い方は、もう一段の大幅下落が起きる公算が大きく、直近の高値に戻るにはこれから何年も先になるとみられる点だ。
中国経済の減速や原油価格急落、米国の利上げなどへの懸念から、欧州株の多くは昨年の高値からの下落率が20%を超え、投資家は巨額の損失に見舞われている。
こうした株安を受け、市場参加者の間では「弱気相場」という言葉が広く認識されるようになり、今月のグーグルの検索記録は、景気後退が深刻化していた2008年10月以来の高水準に達した。同時に、今後はどうなるのかという疑問も浮上してきた。
トムソン・ロイターがFTSEユーロファースト300指数<.FTEU3>の動きを分析したところ、同指数が導入された1997年以降に訪れた5回の弱気相場の平均持続期間は11カ月、高値から底値までの下落率は42%だった。
弱気相場入りから直近の高値を回復するまでの平均期間は35カ月。現在の弱気相場は9カ月が経過し、下落率は24%となっている。
FT100種総合株価指数<.FTSE>に対する同様の分析では、1986年の指数導入以降の7回の弱気相場は平均で11.5カ月続き、高値からは32%下がって、直近の高値回復には49カ月を要した。
今は弱気相場になってやはり9カ月で、下落率は21%だ。
チャールズ・スタンレーのテクニカルアナリスト、ビル・マクナマラ氏は「株価が20%下落したところは、短期的な下値支持線として働く傾向がある。だが弱気相場においては結局この水準は維持できず、いったん割り込むと劇的な下げが起きる」と述べた。
モルガン・スタンレーは世界中で43の弱気相場を調査した結果、欧州株はもっと下がる余地があり、米国株は下落率と下げ局面の長さという双方の点で弱気相場の進み方が最も遅いとの見方を示した。
一方、MSCI世界株指数<.MIWD00000PUS>の今の弱気相場は、期間が中央値の90%、下落率が中央値の65%に達していて「相当進捗している」という。
それでもモルガン・スタンレーは、パターン通りにいくとすれば、世界株指数は今後4週間で現在の水準からは10%下がる余地があるとみている。
<米国株の行方>
米国株に関して、過大評価されていると指摘するのは、ケスラー・カンパニーズ創設者で最高経営責任者(CEO)のロバート・ケスラー氏で、S&P総合500種企業の株価収益率(PER)は社債市場の状況悪化につれて一層低下していくと予想する。
ケスラー氏によると、現在のPERはほぼ16倍だが、今後は33年ぶりに10倍を下回ってもおかしくない。PERが1桁となれば、S&P総合500種は1109を割り込み、足元の水準から40%下落することになる。
ただ、リゾルツ・ウエルスマネジメント創設者で最高投資責任者のバリー・リゾルツ氏は、とらわれの気持ちがもっと少ない。
リゾルツ氏の説明では、S&P総合500種は1950年以降の平均で10%以上の下落を記録した「調整局面」が2年に1回到来したが、しばしばその後の反発で帳消しになってきた。10%安となった年のうちの半分以上のケースで、S&P総合500種は結局上昇して終わったという。
同氏は「今の米国株の調整が緩やかで済むか、全面的な弱気相場に入るか、あるいはもっと悪くなるのかはわからない。確かな情報に基づいて決めるには材料が不足しているので、自分としては根拠のないざっくりした推測で動いてはいけないと提案するしかない」と話した。
(Jamie McGeever記者)
*写真を差し替えました。
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