宮崎の老舗「ゆるキャラ工場」に潜入してみた 今やイタリアの高級ブランドも注目

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それでも加納氏は、事業は盛況だと話す。彼女によると、日本人はものごとの角を丸くして、硬いものを柔らかくしようとするという。たとえば、産業廃棄物について説明したい場合、キャラクターを用いればメッセージが伝わりやすくなる。

加納夫妻が経営するKIGURUMI.BIZは日本有数の着ぐるみ制作会社だ(写真:Ko Sasaki/The New York Times)

日本には着ぐるみを製造するメーカーが数十社あるが、加納夫妻の経営するKIGURUMI.BIZはその中でも有数の企業だ。1体4000ドルから6500ドル(約50万円から80万円)の同社の着ぐるみは豪華な仕様で、蒸し暑い夏でも着ぐるみを着ている人が涼しいように、内部に換気ファンを取り付けるなどの工夫がされている。

着ぐるみの多くは、従来からあったキャラクターをもとに作られるが、加納氏の会社ではデザイナーを雇って、キャラクターを一からデザインしたり、顧客のデザインを改良したりする。

最大の自慢は「くまモン」を作ったこと

同社の最大の自慢は、「くまモン」の着ぐるみを作ったことだ。

熊本県のキャラクターであるくまモンは、2011年の「ゆるキャラグランプリ」で1位を獲得。バッグやTシャツ、キーホルダー、箸、酒ビンなど、数え切れないほどの商品にくまモンの絵が飾られるようになった。くまモンの経済効果を測定した日本銀行の支店によると、くまモンはグランプリ優勝後の2年間で、観光や商品化などで熊本県に1240億円をもたらしたという。

くまモンのツイッターには42万7000人のフォロワーがおり、2013年には熊本県を訪問した天皇陛下とも対面した(皇后陛下は「くまモンはお一人でやっていらっしゃるのですか?」と尋ね、周囲を慌てさせた)。

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