日本の「難民制度」を歪めているのは誰なのか まるで被告人のように扱われる申請者

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日本に逃れてきた外国人は難民申請をすると、入国管理局で難民調査官と呼ばれる職員から、通訳を介したインタビューを受けることになる。あるミャンマー出身の男性は「どこの国からきたのか、家族は何人いるのか、パスポートをどうやって手に入れたのか、日本でどんな暮らしをしたいかという質問をされました」と話す。この男性の場合、申請から不認定を受けるまでに3~4回のインタビューを受けたという。

インタビューの回数があがるほど、どんどん細かい質問をされるようになった。「申請書に書いてあることと違う」などと、矛盾をつくような「取調べ」で、難民の調査というよりも退去強制のためのインタビューのようだったという。

男性は弁護士などの立会い人もなく、一人でインタビューを受けた。「通訳と職員がどんな話をしているのかもわかりせん。うまく自分の考えが伝えられるのか、とても不安でした」と振り返る。

法務省によると、インタビューで申請者から聞き取った内容は、書類にまとめたうえで、霞が関にある法務省本省に送る。そこの職員が書類を見ながら、難民として認めるべきかどうか、判断するという。

だが、インタビューの通訳や証拠の翻訳が、かならずしも正確だとは限らない。裁判を通して難民認定を勝ち取ったコンゴ人男性の場合、提出した証拠の翻訳にいくつかの「誤訳」があった。代理人をつとめた神原弁護士によると、この誤訳が見つかったのがきっかけで、裁判の流れが大きく変わり、最終的に、国に難民認定を義務づける判決が下されることにつながったという。

日本の「独自解釈」が難民認定のハードルを上げる

渡邉弁護士は、難民認定が少ない最大の理由として「入国管理局の難民認定基準のハードルが高すぎること」をあげる。

「少し専門的になりますが、難民条約には、難民の要件として、『迫害のおそれがあること』をあげられています。一般的に、条約締結国では『迫害のおそれがあること』について、『現実的な見込みがあれば足りる』という解釈で、『同じような立場にある人がどのような状況におかれているか』が重要な指標であるといわれています」(渡邉弁護士)

だが、日本の入国管理局は『申請者本人が、迫害の対象として、本国政府に個別的に把握されていること』まで求めているという。こうした独自の解釈が、難民認定基準のハードルを高くしていることにつながっているという。

もう一つ、難民認定の大きな壁となっているのが「立証」の問題だ。難民であることを証明する責任は、原則として申請者側にある。しかし、外国人が着の身着のままで日本へ逃げてきた場合、証拠となるような資料を持ちあわせていないことが多い。法務省に取材すると、「本人の供述だけで認定するケースもある」ということだったが、はたして問題はないのだろうか。

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