中国AIIBは、のっけから課題が山積している 「格付けなし」で、どう資金を調達するのか
元中国財政次官でAIIB初代総裁となった金立群氏は中国メディアの「財新」に、当初の見込みは「うまくいけば20カ国は入るだろうと思っていた」という程度だったことを率直に語っている。当初に声をかけたのはASEAN10カ国と韓国、日本、米国、ロシアさらに中央アジアと南アジアの国々だった。
流れが決定的に変わったのは昨年3月21日に英国が参加を決めてからだ。これについて金総裁は「多くの人が誤解しているが、英国に集中して働きかけたわけではない」と話している。実は金総裁はIFRS財団の評議員を務めており、その業務の関係でロンドンに行く機会が多い。そのために英国財務省との接触が多かったのだという。この発言を額面どおりに受け取ることはできないが、もともと欧州諸国が10数カ国も入るとは思っていなかったというのは本当だろう。
「一帯一路」構想をバックアップする役割
中国にとってAIIBは現代のシルクロード経済圏をつくる「一帯一路」構想を実現するための金融機関だったが、欧州諸国の参加でその位置づけも修正を迫られている。中国の国益にストレートに結びつくような案件は自国が独自に運営するファンドの「シルクロード基金」などに任せて、AIIBは国際協調の象徴にする可能性が高まった。
金総裁は先のインタビューで「日本が1960年代にアジア開発銀行を設立したときも、『すでに世界銀行がある』という理由で米国の反対にあった」という経緯に触れて、世界銀行やアジア開発銀行など先行する国際開発金融機関と協調する考えを示している。
AIIBは職員に世界銀行の出身者を8人も迎え入れ、そのうち米国人が7人を占める。日本に対しても、財務省OBなどの一本釣りを図っているようだ。
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