ファーストリテイリングは今期営業利益上方修正、下期は目標粗利益率引き下げて競争激化に備え
カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの08年9月~09年2月期(今2009年8月期第2四半期)は、売上高3574億円(前年同期比13%増)、営業利益698億円(同28.7%増)、純利益は355億円(同24.1%増)となった。08年9~11月期(第1四半期)終了時点の第2四半期予想が売上高3490億円、営業利益640億円、純利益350億円で、いずれも上回って着地した。
主な要因は、主力の国内ユニクロ事業の売り上げが2962億円と前年同期比で17%増と好調だったことが大きい。百貨店やスーパーなどが衣料販売に悩む中、既存店売上高も12.9%と独り勝ちだった。「ヒートテック」などの機能性商品が大ヒットを飛ばしたことで値引き販売が全般的に減少。秋・冬・春の各シーズンの商戦も早めにスタートする好循環。同事業の粗利益率は48.5%と前年同期比より0・9ポイント改善した。
同社は今09年8月期通期の計画を売上高6600億円(前期比12.5%増)、営業利益1010億円(同15.4%増)、純利益500億円(同14.9%増)と第1四半期終了時より売上高を330億円、営業利益を20億円上方修正したが、経常利益と純利益は据え置いた。これは主力の国内ユニクロ事業を通期5210億円、営業利益1050億円と前回よりも、それぞれ190億円、営業利益で50億円増額したものの、下期から連結子会社となるリンク・セオリーホールディングスの営業損失6億円やのれん償却額12億円、さらには為替影響(第2四半期に営業外で為替差損約54億円計上)などを保守的に見込むことなどによる。
見のがせないのは、主力の国内ユニクロ事業での既存店の計画だ。下期の既存店売り上げ計画は前年同期比で2.3%増と第1四半期終了時よりも1.3ポイント上方修正したが、同期の粗利益率は48%と逆に0.5ポイント「下方修正」した。これは値下げなど、機動的な価格対応策を打つことを想定しているためだ。
好調が続く同社だが、大手スーパーが思い切った衣料値下げに踏み切るなど、足元では競争が一段と激化しつつある。さらに4月下旬には、米国の衣料大手「フォーエバー21」も原宿に上陸する。ただ柳井正会長兼社長は「(外資は)どんどん来てほしい。違いがわかるので、我々の店舗の近くに来て欲しいくらい」と自信を見せる。同社は下期も新たな機能商品を逐次発売、国内競争で引き続き優位性を確保しながら、出店、商品戦略の双方で一段とグローバル化を推進する構え。
「東経オンライン」は今期については当面、同社の予想を踏襲、適宜修正する。
(福井 純)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.08 586,451 87,493 85,698 43,529
連本2009.08予 660,000 101,000 95,000 50,000
連本2010.08予 720,000 105,000 100,000 52,000
連中2009.02 357,424 69,856 63,160 35,552
連中2010.02予 350,000 70,000 64,000 36,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.08 427.4 130
連本2009.08予 490.9 150
連本2010.08予 510.6 150
連中2009.02 349.1 75
連中2010.02予 353.5 75
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