ベストセラー生む名文家たちの「書く技術」 「嫌われる勇気」からジブリまで

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日本ビジネスメール協会代表理事 平野友朗さん(41) 1974年生まれ。筑波大学卒。2004年アイ・コミュニケーション設立。13年に一般社団法人日本ビジネスメール協会を立ち上げる。ビジネスメール関連の著書多数 (1)パーツの確認 具体的な「件名」、受け取る人の「あて名」を確認。本題に入る前には「あいさつ」「名乗り」、最後には「締めのあいさつ」「署名」が必須 (2)読みやすさに配慮 本文は数行ごとに空白行を入れ、複数の用件や質問は箇条書きに (3)近況が距離を縮める 本文の後に「追伸」として個人的な近況を書くことで、より親密な関係に(撮影/今村拓馬)

平野さんは、企業研修やコンサルティングなどを手がけるアイ・コミュニケーション代表という本業を持ち、ビジネスの現場でメールコミュニケーションの極意を身につけてきた。聞けば、ビジネスで使うメールの文体もここ20年ほどで大きく変わったという。

「1990年代のメールは手紙の代替品。文体もビジネス文書に近かった。定型の時候のあいさつがあったりするのも普通。個人的感情やフレンドリーな物言いは不要だったんです」

2000年代になると手紙文体へと変化

それが00年代になると、パーソナルな手紙文体へとカジュアルダウンしていく。

「10年代になると、電話で話すような言葉遣いがさらに増え、その傾向はいまも加速している。対面でおしゃべりしているかのような話し言葉が多くなっています。ただ、メールは相手が見えないだけに、リアルのおしゃべりとは違う。肝心な用件があいまいになり、誤解を生むケースが増える傾向にありますね」

日本ビジネスメール協会が行った「ビジネスメール実態調査2015」によれば、過去1年間でビジネスメールを受け取って「不快」に感じたことがある人は4割。その不快の原因として一番多く挙げられたのは「文章があいまい」だったという。

平野さんのメールは、パッと見ても、要点がわかりやすい(撮影/今村拓馬)

あいまいメールを防ぐために平野さんが勧めているのが、メールに不可欠な「パーツ」の確認だ。具体的には、件名、あて名、あいさつ、署名などだ。余裕があれば本文のあとに「追伸」として個人的な近況などを書く。これで相手との距離が縮まるという。

「社内に送る場合などは、すべてを省略して用件のみの短いメールにしてもいい。でも、ビジネスの相手にはメールの様式を徹底し、パーツを点検する。これだけでも思考が整理され、あいまいな表現が減るはずです」

ちなみに自分のメールボックスをチェックしてみると……。会ったことのない仕事の相手に、「かしこまりました+署名」のみのメールなんかもあった。だめでしょ。

もっと短い文章の達人も訪ねた。書店「リブロ横浜ジョイナス店」の河又美予さん(42)だ。

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