50代に糖尿病で亡くなった男が残す痛切な筆録 「落下星の部屋」が20年以上も続いている理由

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落下星の部屋。メインコンテンツは今も当時のまま読める(筆者撮影)(筆者撮影)
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故人が残したブログやSNSページ。生前に残された最後の投稿に遺族や知人、ファンが“墓参り”して何年も追悼する。なかには数万件のコメントが書き込まれている例もある。ただ、残された側からすると、故人のサイトは戸惑いの対象になることもある。
故人のサイトとどう向き合うのが正解なのか? 簡単には答えが出せない問題だが、先人の事例から何かをつかむことはできるだろう。具体的な事例を紹介しながら追っていく連載の第8回。

糖尿病による体の異変を緻密に描写

蒸し暑い1日が終わり、帰宅してすぐに入浴し、食事を取りました。
テレビではナイター中継をやっていました。
(中略)
3缶目から4缶目に移ったときです。プルトップを開けてテレビに目をもどしたら、
「なにかおかしい。」
「そうだ。ボールが見がたい。」
変だぞと思って室内を見回しても、いつもと変わりないオレの部屋。でも、なにかかおかしい。物が見がたい。
ふと蛍光灯を見上げると、なんとなく赤っぽい。
訳がわからず、とりあえず手のひらで片目づつおおってみると、あらら、左目は正常なのに右目だけにするとまっかに染まった室内。2~3回確認してからドクターの言葉を思い出したのです。
「そうか・・・。これが眼底出血かぁ・・・。」
(落下星の部屋 「片目失明」より)
※改行と小見出しのカット以外、文章は原文ママ。以下同

落下星の部屋」というサイトがある。糖尿病により右目を失明し、両足を切断、腎不全となった、落下星(らっかせい)さんのホームページだ。1999年12月にスタートして以来、ドメインを変えながら現在まで公開されている。

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緻密な描写がなされた回想文は読む者を強い力で引き寄せて追体験させる。落下星さんはサイト開設の3年後に亡くなったが、残されたテキストの引力は衰えず、糖尿病の恐ろしさを伝えるコンテンツとして今日にいたるまで知る人ぞ知る存在となっている。

落下星さんはどんな思いを込めてこのサイトを作り、そして残していったのだろう? サイトにあるコンテンツやアーカイブの断片を読み込んでいくと、その意図が浮かび上がってくる。

「落下星」はパソコン通信時代から愛用しているハンドルネームだ。地元の名産品である落花生と、若い頃から親しんできた天体観測で見かける流れ星(落下してくる星)をかけてつけた。1950年に生まれてからずっと千葉県を拠点に暮らし、健康だった頃はプラネタリウムで働き、解説員として天体の魅力を市民に伝えていた時期もある。いわば人生そのものを表した名前だ。

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