大手鉄道会社「南海だけ」営業黒字、納得の理由 各社の配当予想は会社ごとに戦略の違いが出る

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南海電鉄のなんば駅と、背後にそびえ立つ「スイスホテル南海大阪」(中央)「なんばスカイオ」(右)(記者撮影)

上場するJR、大手私鉄各社の2020年度第2四半期決算が11月までに出そろった。新型コロナウイルス感染拡大の影響ですべての会社の売上高が大きく減少した。

減少率が最も大きいのはJR東海で前期比6割減。4月から9月にかけては在来線の通勤需要に比べ、新幹線の主な利用目的である出張や観光といった長距離需要が打撃を受けた。そのため、新幹線への依存度が高いJR東海にその影響が大きく出た。同じくJRではJR東日本やJR西日本も売上高がほぼ半減した。大手私鉄各社の売上高は2割減〜5割減と、会社によって差が開いた。

営業利益も各社とも軒並み赤字となったが、黒字だった会社が1社だけある。それは南海電鉄だ。

運輸業は88億円の営業赤字

南海の売上高は909億円で前期比2割減。鉄道各社の中では減少率は小さい部類に入る。営業利益は2.5億円。前年同期の211億円からは大きく減らしたが、きわどいところで黒字を維持した。支払利息などの営業外費用やコロナ関連の特別損失があり純損益は19億円の赤字となったが、コロナ禍で鉄道業界全体が落ち込んでいる中で営業段階が黒字というのは称賛に値する。

では、なぜ南海だけが営業黒字を確保できたのだろうか。

鉄道事業については、南海もほかの鉄道会社と同様、苦戦した。南海は関西国際空港となんばを結ぶ鉄道旅客輸送を行っている。コロナ前は多くの訪日外国人客が関空から大阪市内に向かい、それが南海の鉄道収入の増加に貢献してきた。しかし、コロナ禍によって空港線利用者は激減し、空港線の運輸収入は7〜8割の減少が続く。そのため、2020年度第2四半期の鉄道旅客収入も4割減。鉄道事業だけでなくバス事業も大きく落ち込んだ。そのため運輸業は88億円の営業赤字である。

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