鉄道異変 コロナに揺れる鉄道経営

傘下にホテルや旅行業、百貨店などさまざまな事業を抱える私鉄各社。JR各社も三者三様だ。揺れる鉄道各社の「今」を追った。

1月15日午前9時24分。銀色に輝く、宇宙ロケットのような円筒状の列車が西武秩父駅を出発した。西武鉄道の特急「Laview（ラビュー）」だ。2019年3月にデビュー。そのユニークな形状から瞬く間に人気を集めた。

全席指定だが、列車の先頭車両に乗客は乗っていない。この日、代わりに座席に積み込まれていたのは約160パック相当のイチゴだった。当日朝に埼玉県の秩父市と横瀬町で収穫されたものを池袋駅に運び、午前11時ごろに西武池袋本店の売り場に並べた。

最近、鉄道各社が旅客列車を使った荷物輸送を競うように始めている。というのも、新型コロナウイルスの感染拡大で鉄道利用が大きく落ち込んでいるからだ。

円筒状の形が特徴的な西武鉄道の特急列車「ラビュー」

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ホテルで沈む西武と相鉄

大手私鉄の中で業績がとりわけ厳しいのが西武ホールディングス（HD）だ。在宅勤務拡大でも一定の通勤需要が見込める鉄道と違い、ホテル業は低迷が続く。大手ホテルチェーンのプリンスホテルを傘下に抱える西武HDは鉄道とホテルのダブルパンチだ。