立川市、「1000円の婚姻届」に人気殺到のワケ

北海道から沖縄まで、全国から人が来た!

この案を出したのは、20代後半から30代後半の職員のチームだ。婚姻届に着目した理由について、メンバーの早井智子氏は「どういうときに立川を選んでもらうかを考え、それなら結婚や出産のタイミングで移動する人が多いだろうと考えた」と説明する。特徴のある婚姻届を販売することで全国的な知名度を高め、まずは立川を訪れてもらおうと考えたのだ。

婚姻届のアイデアを生み出したチーム。2015年6月の招集から8月のプレゼンまで、短期間で案を練った(記者撮影)

通常、市区町村に置いてある婚姻届は無料だ。最近ではご当地キャラクターが印字されたものもあるが、それも基本はタダだ。立川市は有料の婚姻届を作るにあたって、品質には徹底的にこだわった(もちろん、役所には従来の無料の婚姻届も置いてある)。

製作を依頼したのは「福永紙工」。立川で50年以上、紙の印刷・加工を手掛けてきた老舗印刷会社だ。デザインは福永紙工にもかかわりのあるミツボシデザインの三星安澄氏が担当し、細部までこだわりぬいた。一部1000円と価格は高めだが、相応のコストがかかっているため「1000円でも制作費とトントン」(立川市役所)だという。

関東だけでなく、全国から客が来訪

発売開始は2016年5月、市内のホテルや宝飾店に限定して販売した。300部を用意したが、これが50日で完売。その後増刷し、発売から約半年後の2016年12月には700部超を販売した。年間約1000組が立川で婚姻届を出すことを考えれば、かなり多い数字といえるだろう。

「二人の思い出を手元に残したい」。そんなカップルから支持を集めている(写真:立川市提供)

立川市は「遠くても関東の日帰りで来られる地域の人」の来訪を想定していたが、全国各地からさまざまな人が訪れた。出張のついでに購入する人や、友人や家族へのプレゼントにする人。すでに婚姻届の提出は終えたものの、手元に残すために購入する人もいた。

「これまでゴミ袋くらいしか販売したことがない。在庫管理もやったことがないから、どのくらい刷ればよいかわからなかった(笑)」。事業化の指揮を執った立川市役所総合政策部の小林直弘氏は笑顔で振り返る。

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