大暴落から米国の個人投資家が学んだものとは --リッパー最高執行責任者(COO) エリック・アルムクィスト

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 今回のアワード受賞ファンドの中には、リターンがマイナスであったファンドも選ばれています。ただ、このような市場が急落するという厳しい状況であるからこそ、その環境下において、リスクを考慮したパフォーマンスを達成したファンドについてはそれを認めて、プロモーションしていくことに意義があると考えているのです。

--グローバルな視点からみて、日本の運用会社やファンドマネージャーの技量や経験をどう評価していますか。

世界で最大級のアセットマネジメント会社が日本に数多く進出し、成功を収めています。日本の運用会社やファンドマネージャーが海外に比べて劣っているということは決してありません。確かに日本では"スターマネージャー"といった存在はまれでしょう。ただ実は米国においても、ミューチュアルファンド業界はスターマネージャーに焦点を当てるのではなく、チームとしての投資スタイルや方針によって他社と差別化を行おうとする動きに大きくシフトしてきているのです。スターのために広告を打ったとしても、そのマネージャーがずっと会社に残る保証はありませんし、むしろ残るほうが少ないでしょう。その個人だけのためにおカネを使うようなことは、あまりやらないようになってきているのです。

--トムソンロイターの傘下であることのメリットとは?

 ロイターがリッパーを買収したのは1998年7月のことですが、それ以降もロイター・グループ傘下の子会社「リッパー」として、ビジネスを展開してきました。また、昨年「トムソン・ロイター」となってからはコンテンツをトムソン・ロイターの商品に合わせることを進めてきています。具体的には、サポートサービス、付加価値コンテンツやコンテンツのデリバリーなどに焦点を当てて、トムソン・ロイターとの一枚岩的なサービス提供を推し進めているのです。トムソン・ロイターの傘下に入ったことで、現在は17カ国で(リッパーの)ビジネスを展開していますし、瞬時に世界中のファンドなどの情報が入手できるようなネットワークが構築できています。

リッパーの定量分析システムは投信を選ぶだけでなく、選んだ後のファンドのモニタリングにおいても極めて有効です。ファンドを入れ替えたほうがいいのか、さらに分散を進めたほうがいいのかなどの判断を行う際にわれわれのツールが役立つと考えています。さらに重要なことですが、個々のアドバイザーの方たちがリッパーの情報を使うことで、よりよいアドバイスができると自負しています。われわれはこの強みを生かして、日本の個人投資家の資産形成をサポートしていきたいと望んでいます。

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