紙の時刻表と乗換アプリ、どう使い分ける? それぞれ「中の人」に長所・短所を聞いてみた

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紙の時刻表の編集者は絶対に乗換案内アプリを使わないかというと、そんなことはない。逆に乗換案内アプリの開発者だって紙の時刻表を使うことはある。

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昔ながらの鉄道ファンには時刻表愛好家が多い(つぼ/PIXTA)

そこで、今回はそうした「中の人」がどのように紙の時刻表と乗換案内アプリを使い分けるのか、2人の方に話を聞いてみた。一人は、数年前まで紙の時刻表の編集に携わっていたK氏で、もう一人は現在乗換案内アプリの開発に携わっているA氏である。2人ともバリバリの鉄道ファンである。

まず初めに紙の時刻表の長所について聞いてみた。K氏は「一覧性」、A氏は「網羅性」と答えた。それぞれ意味するところは非常に似ている。K氏のいう一覧性とは「いちいち設定を変えなくてもすぐ別の候補がわかる」、A氏のいう網羅性は「一度に複数の列車の時刻をみることができる」ということである。

K氏は一覧性の具体例として「例えば新幹線で京都に行くとき、ある列車で京都の到着時刻がちょっと早いなと思った場合、目線を5ミリ右に向ければ最適な列車が見つけられる」という。

紙の時刻表には「読み方」がある

A氏はさらに紙の時刻表の長所として「ページを見るだけで、だいたい何分間隔で、1日何本くらい走っているか、特急が走っているのかわかる」といった点をあげた。鉄道ファンとしての視点も大いに含まれていると思われるが、出張時において、列車の本数を把握しておくほうが便利なケースはあるだろう。

一方で、紙の時刻表の短所についても同様に尋ねてみた。まず、K氏、A氏ともに指摘したのが「重い」という点である。B5サイズの時刻表の重さは1キロ近い。小さな判型の時刻表も刊行されてはいるが、それでも鞄のなかで場所をとる。かつて鉄道ファンではない知人と旅行に行くとき、「1人1冊持っていた方が安心だから!」と小型サイズの時刻表を貸与した。旅行当日に知人は「重いから家に置いてきた」と言った

加えてA氏は「読み方を身に付けないと読めない」とも答えた。時刻表に読み方なんてないだろうとも思うが、読み方あるいは使い方がわからないという人が特に自分の世代に多いということは、実際の経験からなんとなくわかる。

その人たちにとっては「乗りたい路線がどのページに載っているか」ということすら難関なのである。時刻表の最初の地図のページが目次になっていることは案外知られていないようだ。もっとも、私の父親(50代、鉄道趣味も旅行趣味もない)もそれを知らなかったみたいで、「なぜこの地図は縮尺が正しくないのか」と時刻表を眺めながら私に尋ねてきたことがある。

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