ホワイトスペースは存在した--アクエリアス ゼロ 1億本への道のり《それゆけ!カナモリさん》

 

■ホワイトスペースを埋めるのは、日常の軽い運動後に飲めるスッキリした飲料

 そもそもアクエリアスのベネフィットは「優れた水分補給」と定義されている。ブルーのパッケージに包まれた基本製品の「アクエリアス」には4種類の電解質と適度な糖分が含まれ、これにより“水を飲むより優れた”体内への水分補給を実現する。さらに2005年発売のイエローのパッケージに包まれた「アクエリアスビタミンガード」にはビタミンCが1000mg配合され、ビタミン補給も同時に叶える。

では、シリーズの中心を為すベネフィットを据えつつ、「スポーツ飲料離れ」を起こしている層を引き付けるには何を残し、或いは何を捨てればいいのか--。そこに手の付けられていないホワイトスペースが存在した。あらゆる層を面で押さえるために全方位を視野に発想するリーダーの戦略ならではの展開である。

ターゲット顧客として置いた「35歳以上」のニーズは、2008年に特定健康検査(いわゆるメタボ健診)の法制化以降、急速に高まった「お腹のたるみ」や「中性脂肪」の抑制にあった。このために、駅でエスカレーターを使わずに階段を使用する。通勤時に1駅分多く歩くなどの軽い運動を実践する人も少なくない。調べると、これらの層は、10歳代~20歳代の「アクエリアス」ユーザーとは異なり、よりスッキリした、甘さが控えめの、濃すぎない味を好むことが分かった。激しい運動をしないために、ニーズも嗜好も異なるのだ。

では、軽い運動をした後、これらターゲット顧客は何を飲んでいるのか。それは前述の通りミネラルウォーターやお茶だ。なぜならば、「カロリーがゼロだから」。それは「スポーツ飲料離れ」という危機をもたらしている一方で、大きなビジネスチャンスを示していた。カテゴリー内に競合となる商品が存在していないからである。「アスリート向け」「運動向け」から「日常向け」にイメージ転換を図れば、カテゴリーのオンリーワンになれる可能性を示している。

 

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