しかし、実は日本コカ・コーラには苦い過去があった。カロリーゼロのアクエリアスを2008年9月に市場に投入し、販売に苦戦し、撤退しているのである。その時はターゲット顧客を「女性」としており、上市後の評価は「味がいまひとつ」というものだった。
この反省も踏まえ、また市場の追い風を捉え、冒頭の「Fit body. Fit life. いきいきしたカラダへ」のスローガンも掲げた2010年。つまり発売2年前から「アクエリアス ゼロ」の開発はスタートしていた。飲料としては異例に長い、周到な準備期間だといえる。2008年の失敗を教訓として、何よりも中心は「味」の開発に置かれた。ターゲットの未充足ニーズである「スッキリしたおいしさ」の実現だ。さらに燃焼系サポート成分である「カルニチン」も配合された。かくして、「カロリーゼロの水分補給」を実現する「アクエリアス ゼロ」が5月7日に誕生した。
■段取り八分、王道に則ったマーケティング戦略が勝因
さて、当然ながら、良い製品を作っただけではモノは売れない。製品の価値を消費者まで確実に伝達して売る「しくみ」を構築しなければならない。マーケティングの流れをモレ抜けなく設計することが重要だ。
「アクエリアス ゼロ」のプロモーションにおいては、コミュニケーションターゲットとして周辺層への波及効果を狙い「35歳」という年齢が設定された。セレブレティーにはオダギリジョーを選び、CMでは「軽い運動をサポートする」という意味合いから「チアリーダーが日常の運動を応援する」というシーンを演出した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら