営業利益をチェックする時には、企業規模にも注意してほしい。小規模でありながら多額の利益をあげていれば効率がいい、すなわち経営力の高い企業と言えるし、大規模で利益額が小さければ経営力が低いことを意味する。企業規模の一つの基準としては従業員数が挙げられ、営業利益と比較することで企業の経営力を知ることができる。
「従業員1人当りの営業利益ランキング」の上位10社を見ると、平均年収は844万円。2014年の日本人の平均給与は415万円(国税庁・民間給与実態統計調査)と比較して2倍の水準だ。効率よく儲ける企業は、従業員に高い賃金を支払うことができるということだ。
上位20社を俯瞰すると、情報通信系が7社と最も多い。ほか、小売業から2社ランクインしている。では、上位に入った企業を個別に見ていこう。
トップは国際石油開発帝石
1位の国際石油開発帝石は、原油・天然ガス開発生産の国内最大手。国際石油開発と帝国石油が2006年に経営統合し2008年に合併して発足した会社。東証1部上場の民間企業だが、日本政府(経済産業大臣)が18.9%の株式を保有する筆頭株主だ。原油価格の低下で2016年3月期は減収減益見通しだが、中東の油田権益取得など次への投資は着実に進んでいる。
国際エネルギー機関(IEA)の調査では、世界のエネルギー需要は長期的に拡大する見通し。今後は再生可能エネルギーなども増えていくが、IEAでは2040年時点の世界のエネルギー需要に占める石油や天然ガスの比率を50%超と予想している(IEA World Energy Outlook 2014)。国際石油開発帝石は、世界経済の発展とともに着実に伸びていく企業と見ていいだろう。
2位のミクシィは国産SNSの交流サイト「ミクシィ」を運営。海外のフェイスブック、ツイッターに利用数を奪われており、現在の収益柱は利用者数が世界で3000万人を超えたスマホゲーム「モンスターストライク」。10月に中国から撤退したが業績への影響は軽微だ。
3位のガンホー・オンライン・エンターテイメントはモバイルゲーム会社。もともとネットオークション会社として設立されたが、2002年にパソコン向けオンラインゲームの運営へ事業転換。2012年に発売のスマホ向けパズルRPG「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットで急成長した。孫泰蔵会長はソフトバンクの孫正義氏の実弟。今後は「パズル&ドラゴンズ」の利用が一巡していくので、次のヒットゲームの開発が課題となっている。
そのほか、10位のセリアは100円ショップを東海エリア地盤に全国展開しており、業界での順位はダイソーに次ぐ2位。正社員数を抑えてアルバイトを効率的に活用することで業績を伸ばしている。19位のスタートトゥデイは衣料品ネット通販「ZOZOTOWN」の運営会社。ネット通販は店舗展開する小売業と比べ圧倒的に人手が少ないため従業員1人当たり営業利益が高い。
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