フェラーリが強気に値上げしても売れる理由 このブランディングは計算し尽くされている
2013年に当時のフェラーリ会長であるモンテゼーモロは「中国で年に500台も売れてはフェラーリが独創的な存在ではなくなってしまう」と、買う気満々の中国市場への出荷を制限してしまった。こんな高飛車なセリフを一度でいいから言ってみたいものだが、その前年に達成したフェラーリとして過去最高の年間生産台数を、ブランドの希少性を維持するという理由で「絞る」と宣言した。
ということは、売り上げを拡大するためにできることはクルマの価格を上げることしか残されていない。事実、フェラーリの価格はモデルごとにどんどんと上がっている。1990年当時のフェラーリ8気筒モデル「348tb」の日本国内価格が1600万円台であったのに対して、現在の488GTBはなんと3000万円を超えている。
フェラーリ主力モデルの価格は過去25年で2倍に
ちなみに1990年当時のカローラの売れ筋モデルは160万円台であったのに対して、現行のカローラアクシオの価格がどうかといえば、160万円台で全く変わらない。1990年当時に比べて、最新のカローラシリーズはエアバッグ、ABS(アンチロックブレーキシステム)、ブレーキアシストなどの機能がてんこ盛りになっているにもかかわらずだ。
カローラのようなフツウのクルマは技術や生産性の改善により、とてつもなく機能が向上した。それにもかかわらず価格は25年前とほとんど変わらない。対して、フェラーリはなんと、もともと高い価格がおよそ2倍にもなっている。かつてはカローラ10台分で1台のフェラーリを買うことができたのに対して、今では20台分になってしまっている。
自動車メーカーとすれば、フツウのクルマであっても機能が進化した分の価格を上げたいのは山々であろう。しかし現代のように、きっちりとクルマのセグメントが決まり、ライバル車種と細かなスペックで競合している状態において、そう簡単に“ウチのクルマは出来がいいですから値上げします”と言えるであろうか。
フェラーリは売りたくないマーケットには売らないし、価格をどんどんと自分の判断で上げていくし、まさに世界の経営者の夢のようなことを実現して、それで高い利益を上げているのだ。
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