フェラーリが強気に値上げしても売れる理由 このブランディングは計算し尽くされている
フェラーリというブランド・イメージがしっかりと植え付けられているオーナーは、フェラーリ社による厳しいCIで仕上げられたディーラーの中で、あたかも自分だけのF1マシンをオーダーしているような高揚感を得る。このような用意周到なプロセスがあれば、値引きや他モデルとの競合など言い出すことはできまい。
このようなフェラーリを持つという満足感を演出することがフェラーリ社の仕事なのだ。こういった高価なクルマを売る為には、フツウの商品のように宣伝したり、セールスしたりしても意味がない。その“商品”のヒストリーを顧客が理解し、「このクルマこそ自分のために作ってくれたものだ」と思わせることが重要なのだ。
広告を打ったり、季節のセールス・キャンペーンをやったりしない代わりに、フェラーリ社は創始者であるエンツォ・フェラーリ神話をより高める為のF1へ莫大な投資を行い、ブランドの価値を高めることに注力している。
製造現場のペースで工程をコントロール
ブランドの伝説化と独自性の追求はフェラーリの大きな特徴だ。このような受注生産システムをとれば、フツウのクルマのように過剰在庫を持つこともないし、あらかじめ受注してから納車まで半年から一年ほどの時間が掛かることが告げられているので、ある程度、製造現場のペースで工程をコントロールできる。
したがって、需要を見て、急遽、生産設備を増強したり、ワーカーを増員したりするという対応も必要もなく、しごく効率的なのだ。なにせ年間7000台を上限とする訳であるから、安心して“中小企業規模”の生産施設を維持し続ければよい。
前述のラ フェラーリは日本人デザイナー奥山清行氏がスタイリングを手掛けたエンツォ・フェラーリに続いて発表された”スペチアーレ“と称す限定ハイパフォーマンスモデルである。モンテゼーモロ フェラーリ元会長はことあるごとに「需要よりも1台少なく作れ」という創始者エンツォ・フェラーリの教えを説いていた。
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