丸の内に高級チョコ店がここまで集まる理由 名だたるブランドに選ばれる街の魅力とは

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日本を代表する高級チョコレート専門店 ショコラティエ パレ ド オール 東京店。2007年、新丸ビル竣工と同時にオープンした

「店の外観だけでなく、中にいて窓の外に何が見えるかはとても大事です。お店の中から、ごちゃごちゃした見たくないものが見えたりすることが丸の内にはありません」そう語るのは同店のオーナーシェフであり日本を代表するショコラティエの三枝俊介さん。客層や、丸の内に店を構えた理由もたずねてみた。

「丸の内には一流企業といわれる会社が多く、感度も意識も高い方が多い。男性客が多いのも特徴です。トレンドにも敏感、高所得な人も多い。そういう意味ではチョコレートの文化、 チョコレートのクオリティを目利きができる人がいるのでマーケットとして成立するのでしょう。ただおカネを持っているだけではなく、良いものへの見識がある人が集まる。街の清潔感、町並みの美しさもそうですが、看板の規制もあり、目立ったら勝ちというような看板がないので、高級チョコレートにはふさわしいのです」(三枝俊介さん)

カカオサンパカ 丸の内本店。18時に店を訪れると手土産を購入する男性客が訪れていた

丸の内はオフィス街なので、会社需要が多く、ギフト商品が動くのも大きな特徴。丸の内の高級チョコレート店には、どの店にも用途に合わせて選べるように、チョコレートを使った焼き菓子やマカロンなど、種類も価格も幅広く、豊富な手土産商品を揃えている。

「相手の評価が高まる」

高級チョコレート店で手土産を購入していた40代のビジネスマンに聞くと「チョコレートは見た目に高級感があり、すぐに良いものとわかってもらえるのがいい。良いものを知っていると思われることによって相手からの評価が高まる。そして実際、食べると美味しい」という。ホワイトデーの需要も大きい。「ホワイトデーは大変。毎年行列です」(青木定治さん)

カカオサンパカ 丸の内店には、チョコレートとお酒のセットを用意している。ギフトに人気

丸の内の商業展開にあたり、三菱地所は「食」を大きなテーマに掲げ、高いレベルの食文化をきちんと入れていく必要があると考えた。「店に品格があり、嗜好性が高く、こだわりのあるもの。そして多くの方が望む物というカテゴリーに高級チョコレートが属していて、結果的に自然に選んでいったら、 高級チョコレートショップが多かった。丸の内らしさを考えるうちに自然に多くの高級チョコレートブランドが集まったということになります」(三菱地所 綿引さん)

丸の内の街を彩るように、2005年から10年の間にオープンしたいくつもの美しい高級チョコレート店。どのブランドも、一流のショコラティエが作った上質なチョコレートをジュエリーのように並べ、インテリアやパッケージにいたるまで洗練されたイメージを整えているが、丸の内に店を構えることはそれだけにとどまらない。窓から見える景色、美しい街並み、エレガントな佇まいまでをも価値として取り入れ、ブランドイメージを統一、世界感を完成させられるのだ。

また、感度の高い大人が集まること、オフィスの手土産需要、ホワイトデー需要が多いなど、高級チョコレートブランドが求めることと、街が求めることがぴたりと一致している。高級チョコレートブランドにとって、丸の内はある意味、銀座以上に魅力を感じるエリアといえるのかもしれない。

市川 歩美 チョコレートジャーナリスト/ジャーナリスト

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いちかわ あゆみ / Ayumi Ichikawa

大学卒業後、民間放送局に入社、その後NHKで、長年ディレクターとして番組企画・制作に携わる。現在はチョコレートを主なテーマとするジャーナリストとして、日本国内、カカオ生産地などの各地を取材し、情報サイト、TV、ラジオなど多くのメディアで情報発信をしている。チョコレートの魅力を広く伝えるコーディネーターとしても活動。商品の監修や開発にもかかわる。

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